少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

311  広州の嵐

9月5日。渋谷区大山町からバスで渋谷へ。東急エクセルホテルから空港リムジンバスで成田へ。中国南方航空便で広州へ。ボーイング777のジャンボ機は中国人旅行客の大群でほぼ満席。今さらながら恐るべし中国パワー。JALからもANAからもリストラされた機内の日本新聞サービスが、いまだに健在、恐れ入りました。(前回の帰国時=8/21、JALのCAさんに機内新聞リストラはむごいだろうと苦言をていするや、是非苦情係に文書で提出して下さい、というリクエストにお応えして「飲まない人も確実に存在する酒類サービスは有料化し、その見返りとして長旅の友となる新聞のリストラは即時撤回せよ」なるメッセージをJAL首脳陣に提出したところ、ご丁寧な返信をいただきました。今までのJALにはなかった低身な姿勢ですが、倒産しなければこんな基本もわからなかったのかと、それはそれで評価というか、今さらながらといおうか・・・)
広州白雲空港からリムジンで中国の宿泊先マンション33階の部屋へ。5年間住み慣れたこの部屋も今月で撤退です。見渡す夜景も今月限りか、何とか十五夜だけは見れそうだが・・・などと呑気なことを思うていたら、昨夜(8日)は深夜0時ごろから急激に空が白み出し、遥か彼方にあった遠雷がものの数十分で接近。33階35階(縁起かつぎのため中国では死をイメージする4のつく階は無いのです)のメゾネットマンションの窓という窓を全部締め切る。
と、同時にバリバリバリと大粒の雨が窓に刺さる。中国では雨は上からではなく強風にあおられ横からやってくる。天空で果てしなく生まれる稲妻の塊は地上に落ちる前に互いにぶつかり合い、蜘蛛の巣のようなカタチで地球を包囲する。これはもうガラスを突き破ってくるぞ、と勢いを増す雨がさっきまで見えていた町を視界から消し、空だけが妖しく光る。
これは何なんだ。記者会見のカメラのフラッシュなんてもんじゃない。カーテンを閉め、瞼を閉じたところで、光の粒は安物の布と薄い皮膚を突き抜け眼底の奥の奥まで果てしなくえぐり込んでくる。これはもう楽しむしかない。
たまたま先ほどまでDVDで勝新太郎の大作「蓁の始皇帝」をずっと見ていた。かの万里の長城を築いたころの物語で幾度もの大地震により建築を中断を余儀なくされたため、ついに人身御供、人柱を建てた。その人柱となった男の妻が「夫に会わせてください」と天に泣き叫んだところ、その涙が豪雨となり、叫びが嵐となり、天が割れ、地が砕け、万里の長城の一部が崩壊した。
さきほどDVDで見た光景をライブで見ているようだ。ただし、これは日本でいう台風ではなく、ほんの通り嵐。一時間もすれば通り過ぎるだろうと思いきや、この夜は3時間も続いた。(僕は途中で寝てしまったのだが、翌日、知人から聞かされた)。
ひとりで酒を飲むことなど、まず無い僕だが、買い置きの白酒50℃の小鬢を開け、グイっとラッパでやった。深夜0時の50℃はきつい。五臓六腑がヤケドする。それでも、安全な場所から眺めるスリルという悦楽は現代人のみに与えられた特権なのか、満ちた苦悩への褒美なのか、ストレートの白酒は確実に僕の内蔵を焼き、脳みそをエセ哲学者にする。
明け方、僕が見た夢は小さな診療所の待合室。何人か順番を飛ばされたみたいで苛立つ僕。やっと名前を呼ばれたところで、携帯に80歳の母親からの電話。この人はほんと、いつも最悪のタイミングで電話をかけてくる。狭い診察室に入ると、中央には生死を彷徨うベッドの患者と「なんとかしてよ〜」と泣き叫ぶ、家族と思わしき中年女性が。その横の診察台に僕が座わり、黒ブチの眼鏡に七三分けの見たことない医者が僕の足を見て「こりゃひどい、悪くなってる・・・」とひとこと。僕が看護婦さんに何やら冗談を言うと看護婦さんは一瞬「ぷっ」と笑ったが「他に患者さんがいますので」と僕に釘をさす。残念ながら冗談の内容は覚えていない。看護婦さんのひと言で僕は再び生死の狭間のベッドの患者に目をやる。子供ではなさそうだが、男なのか女なのか、若者か老人なのかはわからない。ただ、先ほどの中年女性が「助けてよ」とおろおろしているが、白衣を着た人は誰も手をかさない。
すると先ほどの七三の医者が「さあ、安藤さん、こっちに来て、なるべく大きく足開いてね」という。いつの間にか僕は下半身丸出しだ。なんという機械だろうか、女性が分娩する時に乗せられる台に乗せられる。
「ちょちょっと待って、何これ、えっ、まさかカンチョ〜?」と涙声の僕。「そうカンチョ〜。ちょっと太いからね、もっと大きく足広げてもらわないとね」と七三分け。すると白衣を纏ったやや若い医師が出てきて「これア○○○ですから」と(忘れてしまったけど)アで始まる4文字の薬品名を告げる。「これはちょっと太いから血が出るかもね」という若い医師のひと言に僕は完全にびびり、台から降りようとするが、医師に押さえられる。すぐそこには生死を彷徨う患者がいるのにカンチョ〜ごときで逃げ回る自分が情けないが、巨大なカンチョ〜の注射器が見えた瞬間、僕は叫んでしまった。
「だって僕は水虫の治療でしょ、なんで〜」
ここで目が覚めました。作り話じゃないですよ、マジで。
年に4〜5回ほど夕方になって忘れない鮮やかな夢を見るので書きとめています。どなたか夢判断できる方、いらっしゃいましたら、鑑定のほどよろしくお願いいたします。