少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

411  屋上のキャンディ−ズ2

なにゆえ、ゴリラーマン吉田が僕に抱きつくほど喜んだのか?それは僕ら二人にしかわかりません。
あれは確か僕らが中学二年の時、つまり昭和48年だ。当時の安城は3階建以上の商業施設はユニーダイエーの2つしかなかったのです。後発のダイエーが3階建のユニ―を抜き、4階建のデパートが安城に出来たと話題になりました。なにしろエスカレーターなる動く階段がついたものはすべてデパートだと思い込み、安城にエスカレーターがあるのはこの2カ所だけだったのです。
さて、そのダイエーの屋上特設会場に「キャンディーズ来たる」なる情報をつかんで来たのが北中野球部仲間のミッさん(後に東邦高校野球部)。ところが、その「キャンディーズ」が何者だか誰にもわからない。東京から来る芸能人らしい、ということくらいしかわからない。無理も無い、天下のキャンディーズとて、その時はまだデビューほやほやのドサ回り時代だったのです。
僕はただミッさんに誘われてついて行っただけだったのですが、当日はあいにくのそぼ降る小雨。ゴリラーマンは「20人は居た」と言い張りますが、僕のカウントではきっかり12人、もしくは11人の観客。その中には、たまたま屋上のペットショップにカメを買いに来てた親子や、休憩中の従業員もいました。その人たちは、雨のあたらない奥の通路から遠巻きにして眺めているだけで、実際にキャンディーズが目的で来た観客は僕ら2人の他には4〜5人でした。なんと、その中にゴリラーマンがいたというのです。
さすがにゴリラーマンがいたかどうかまで記憶にないのですが、キャンディーズが歌った、たった一曲の歌はデビュー曲の「あなたに夢中」。当時はその歌一曲しか持ち歌がなかったのです。そして歌が終わるとプラスチックの筒に入った3人のプロフィールのパンフとキャンディーのセットをス―ちゃんからいただきました。で、何より悲しかったのは、ランちゃんが自らラジカセのスイッチを入れ、そこから流れる音をBGMにして3人が歌ったことです。これが日本で最初のカラオケです。
僕はそんな彼女たちの姿を見て「かわいいな」ではなく「かわいそうだな」と丸坊主の中学生ながらしみじみと思いました。
「しっかし、お前よう覚えとるな〜。俺、記憶力抜群だけど、そこまで鮮明に覚えとらんかった。でも、今の安藤の話で記憶が全部甦ってきた。本当にそうだったそうだった」とゴリラーマン。
もうひとつ悲しい話を追加するなら、キャンディーズのためにダイエーが用意した特設会場の舞台はビールケースの上にべニア板を乗せただけのものだった。
「そうそうそう。実は俺、最前列で下からカメラで写真撮っとったけど、確かにそうだった、ありゃひどい舞台だったわ〜」とゴリラーマン。つまりお前はパンチラ狙いの変態中学生や。
どうや、凄い話でしょ。あの日のキャンディーズの目撃者はわずか十数人。しかもその中に隣町の矢作中学から越境してまで忍びこんできた変態デバガメ小僧がいたとは・・・。(まだ続く)