少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

525  臓器移植考7

さて、産経新聞記者の手記、80歳とご高齢の母親からの腎臓提供は「美談」と言えるのでしょうか?僕はそうとは思いません。親が子に子が親に与える無償の愛は、理解できます。しかし、ドナー(提供者)の年齢を考えると「無謀」としか言えません。
まず、臓器にも当然、年齢があり、人間の臓器は何も疾患がなけれな100年は持つと言われています。仮にドナーの腎臓がパーフェクトだとしても、逆算すれば余命20年です。48歳のレシピエント(移植患者)が、この臓器を大切に使ったとしても20年ですが、新聞記者という激務に加え、腎不全にいたるまでの疾患を考慮すれば、その臓器の寿命はもっと短くなるというのが自然の考えでしょう。
つまり、再び腎不全に陥る可能性が極めて高く、さらに今度は、抗体というものができて、新たな移植を受けにくい体質になるという可能性も事前に説明を受けたのでしょうか?甚だ疑問です。第一、80歳の高齢者にメスを入れ、臓器を摘出するという行為が倫理的に許されていいものかどうか、僕はこのことも大いな問題点だと思います。
僕はこの移植を勧めた大阪大学の高原史郎という医師と面識があります。日本臓器移植ネットワークの理事のひとりから紹介を受け、私が中国で腎移植のお世話をした在阪の患者さんの帰国後の診察をお願いしたのです。
その時に、酷いことを患者さんの前で言われたので特に覚えています。
「あんた、中国で移植したんだって?何、C病院?あそこは最悪や、あそこの病院で手術した患者はみんな死んでるで。あんたも、結果良くないな。今からすぐ入院せな死ぬで・・・」
信用していた理事からの紹介なので、初対面とはいえ、そこまでストレートに、しかも患者さんと家族(奥さんと息子さん)の目の前で、そりゃないだろう、と怒りに震えるとともに、患者さんと家族の意気消沈、そして他の患者さんの安否など、僕自身、とてつもない不安に陥りました。その足で高原医師が指定する病院へ行き、急遽、入院手続き。その間、日本のスタッフに連絡を入れ、帰国した患者の生存確認をさせたところ「全員ぴんぴんしておられます」との回答。それでは、先ほどの「C病院は最悪、全員死んでいる」という発言は何だったのか、その真意は未だに不明である。
結局、患者さんは、長旅の疲労で体力が少し落ちたことと、縫合の傷口を補うために白血球の値が少し高めになっただけで、移植した腎臓に関してはまったく問題がない、ということで数日後に退院されました。
(つづく)