少数派日記

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“安藤総理の少数派日記”

495 臓器移植考8

大阪大学ではドナーの年齢制限を75歳としているそうだが、これも甚だ疑問である。臓器にも臓器年齢というものがあり、それは一般的に実年齢に比例する。僕が知る限り、国内の移植病院のドナー年齢制限は60歳だ。これが、僕が提携している中国の病院ではぐっと下がって40歳。これまでの日本人患者へのドナーはすべて20代だった。だから元気がいい。ものすごい勢いで尿が出る。
連載の著者である48歳記者のレシピエントは、80歳の母が自分のドナーになるつもりで担当医に会いたいと言っているが、記者は母親が医師から年齢制限でひっかかる旨を言われ、諦めてくれるものだと、内心思っていたそうだ。ところが、母親と面会した高原医師は「いけるかもしれない」という回答を母親にし、そして移植は実現した。
ネットで検索すると、阪大での腎移植についてこう書いてありました。「献腎移植は待機に約10年かかります。現在180人の移植希望患者が待機しています。年間約60人の患者が移植手術を受けますが、そのほとんどが生体間移植です。夫婦間の献腎は増えています。ABO血液型不適合間移植も増えています。70歳以上の高齢者の生体間腎移植も増えています」という内容です。
これは非常にアバウトなインフォーメーションでかなり危険な情報です。
阪大に限らず、生体間移植の場合、ドナーが限られ、赤血球のABO型が一致しなくても移植を強行します。手術は出来ますが、その代償として、通常より多めの免疫抑制剤の投与が一生に渡り、強制されます。その副作用たるや、発癌率や他の病気の感染率が格段に高くなり、他の健全な臓器にまで負担や悪影響を及ぼします。
中国では術後の免疫抑制剤をいかに小量で済ませるかということを重視します。そのためAOB型の赤血球は完全に合致させます。さらにHLA式の白血球の型は最低80%の合致がなければ、ドナーとして認めません。特に私がお世話した日本人患者には90%近い合致の条件を提示します。ですから、帰国後の免疫抑制剤の量は、国内移植患者と比較して極めて少量です。
特に高原医師に「あんた、死ぬぞ」と脅かされた移植患者の男性は「一卵性双生児とほぼ同じ99%のHLAのマッチング」と言われるドナーからの移植でした。彼は日本で事故腎の移植手術を受けたことがありますが、結局2年と持たずに透析に戻りましたが、現在手術後5年経過していますが、良好で、まったく問題ありません。
また、70歳以上の生体間腎移植も増えているとのことですが、高齢者がレシピエントならともかく、記事の母親のようにドナーだとしたら、問題です。私がお世話した30代女性患者も60過ぎの母親がドナー候補でしたが、やはり年齢を理由にに、日本の移植病院が手術の受け入れを拒否しました。これが普通です。
これは僕の推測ですが、事実関係を整理すると高原医師は「症例」を増やしたいがための行為ではないかと思います。
ちなみに、高原医師は徳洲会宇和島病院で病気腎移植で話題となった万波誠医師を痛烈批判しています。今のところ、ドナーの癌細胞がレシピエントに転移したという医学的報告を聞いたことはありませんが、高原医師は、根拠のあいまいな移植腎の成着率を掲げて万波移植を否定しています。その批判に多くの疑問を持つ医療関係者も少なくありません。
医師の名声のための移植なのか、患者やドナーを最優先に考慮した移植なのか、疑問に思うのは少数派の僕だけではないと思います。