少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

503 臓器移植考 10

産経新聞の「命贈られて〜母からの腎移植」(袖中陽一記者)の連載が本日12/21、7回で終了した。全体を通しての感想を言えば、期待に反して内容の薄いものであった。その理由は感情先行の記述で具体的な内容が乏しかったことだ。産経新聞東京新聞は他紙に比べ、こと臓器移植問題には特化した取材力と情報源を持っているように見受けられる。その社の現役記者の連載内容としては、稚拙だったと言わざるを得ない。
厳しいようだが、執筆者は48歳で新人ではない。ドナーである80歳の母親への感謝の気持ちだけが、優先し、新聞連載としての役割を重視せず、誤解を恐れずに表現するならば、ある意味、私物化しているようにも思えた。気持ちはわからないでもないが、臓器移植は大きな社会問題である。新聞記者という立場から、そのようなテーマを織り交ぜた原稿を読ませてもらいたかった。連載はまるで、素人の闘病記の域だった。
これも言い方に誤解を招きそうだが、新聞記者として、貴重な経験をされたのだから、移植問題に取り組み、本を一冊仕上げるくらいの数字的データなども集積していただきたい。
まだ、術後半年だが、その後80歳の母君の体調なども、読者としては気にかかるところだ。また、免疫抑制剤の量や、リスクなども、移植希望患者にとって、大いに気にかかるととろである。
私は現在、国立の医療機関に投宿の身だが、おかげで多くの医療関係者との交流の場を設けることができた。そこでも、この連載は話題となり、専門家からも数々の疑問の声も聞いている。
私が接してきた患者さんの中には、もともとの持病の悪化という人もいれば、ある日突然・・・という方もおられた。つまり明日は我が身なのである。連載の著者には、特に病歴があったわけではなく、新聞記者という重労働やストレスからくる、後者的な立場だったのではなかろうか?だとしたら、なおさらのこと、日本の医療制度改革、特に移植制度の発展的な改革にさらなる一石を投じていただきたい・・・と切に願う撲であった。