少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

608 上海再来4

踏ん張った末、男はちり紙を求め、そして自らの尻を拭いた。あのタオルの無事が確認され、僕もひと安心。踏ん張る男とはガラスの扉越しに何度も目と目が合ったが、されど、男はまったく臆することなく、脱糞作業を終え、しかも、口笛を吹きながら、僕の前を過ぎていった。あれは余裕をかましたのだろうか?単なる照れ隠しだったのだろうか?いずれにせよ、全裸男の和式脱糞姿を目撃したのは、僕にとっても初体験だし、複数回に渡り、同一男の先っちょが触れたのも衝撃的な体験だったことに違いない。
いずれもノンフィクション、衝撃の真実だ。僕は男の背中に「ありがとう」という言葉を目で投げかけ、そして退場した。
出口で入浴料10元、垢スリ料12元を払い、靴を返してもらう。
時刻は午後3時、のんびりした昼さがり。通りのあちこちで10人前後のオヤジの人だかりが出来ている。賭けトランプとその見物人たちだ。そいつらのすぐ横には、解体された鶏と、籠にぎゅうぎゅう詰めにされた鶏と鳩が、解体される順番を大人しく待っている。
件の500元の九官鳥は見かけない。もう売れたのだろうか?九官鳥オヤジは賭けトランプに夢中で話しかける余裕はなさそうだ。
僕の姿を見つけた2匹の犬が、あちらからよろよろと寄ってきた。ひどいできそこないの雑種だ。最初のころは僕を警戒して逃げていたのに、今では、ずうずうしく僕の足の甲に自分たちの足を乗っけている。愛(う)いヤツらよ。やっと友達になれたけど、残念、もうお別れだ、来世でまた会おう。
そして僕は往来で不法営業している屋台のポップコーン屋のおばさんにいつものヤツを注文した。こちらではポップコーンに砂糖を入れて甘くするが、僕のは塩味だ。その場で作るポップコーンはコンビニ袋一杯で5元。これが実に旨い。広州では見かけたことがない。
野菜の切れ端、魚の内蔵、あるいはぺしゃんこのねずみの死骸が普通に散乱している路上に真っ赤なポルシェが停車した。
中から出て来たお兄さんは、路上ギャンブルオヤジ族と同じ匂い。そして誰もそのポルシェに振り向かない。
この国では、努力したエリートがポルシェに乗るわけではなく、豊かな人間のほとんどは共産党幹部と上級役人。そして、何らかの理由で、昨日までの路上ギャンブル人間が、翌日にポルシェの所有者になることも、まま在りうるという。その多くは土地成金だ。だから、ポルシェだろうとリヤカーだろうと、高級中華と屋台の焼きそばだろうと、僕らが思うほどの格差がないような気がする。
それがいいことなのか、どうなのか?アリかナシか僕には皆目わからない。とにかく、僕は明日、ソウル仁川経由の大韓航空便で東京へ帰る。当初の予定通り、明日4月13日、とうとう上海「G」も大家へ返還となる。つづきは東京で・・・。少数派日記、上海・広州編、お付き合いありがとうございました。(了)