少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

621 最後の桜1

帰国の翌日4/14午後、下高井戸の本社でK会長に報告。
その後、スーパーと八百屋さんで野菜と水とヨーグルトを買う。
都内で水とヨーグルトは売っていない、と聞いていたので、なんだあるじゃん、と思ったが、買えたのは結局その日だけで、その後は本当に買うことが出来なくなった。
その後、主治医のI先生に帰国の報告と血液検査。そして受付のH嬢に「桜はまだ見られる」と聞くも「もうピークは過ぎちゃいましたよ」と言われがっくり。「でもまだ玉川上水の桜が少しありましたよ」と言われ愕然。何故なら僕は、さっき、下高井戸に行く途中、そこを通ったのだ。まさか気づかなかった。そんなバカな。
「いや、うそでしょ。だって僕さっき通ったよ」
「え〜でも、私、昨日見ましたよ。そんな一晩でぜんぶ散らないでしょ」
「じゃあ、僕が気づかなかった?そんなバカな・・・」
四季の移り変わり、洞察力には人二倍自信のある僕が見落とすなんて。
僕はその足で、すぐ近くの玉川上水土手に行った。そして彼女のいう桜の花は、まだすべて散らずに、ほんの少しだが、確実に枝にしがみつき、自分勝手だが、まるで僕の帰りを待っていてくれてたようだった。
下高井戸へ行く道すがら、やけに道が白く感じていたのは、散った桜の花びらだったのだ。そんなことさえ気づかず、僕は堂々と桜の花びらを踏みつけながら歩いていたんだね、むごいことをしてしまった。
震災のショックからか、上海のショックからか、おそらくその両方からだろう。そんな大切なことにも気づかずに。
僕は、さっき来た玉川上水上遊歩道ではなく、平行に延びる北5商店街通りを歩いた。ここの老舗和菓子屋の横に大きな桜の木があるのだ。
僕は面会に行った。はるか高方にはまだ、風に揺れる桜の花びらが寒空に耐えている。そしてほんの一部の地面だけ、風に舞った花びらが、アスファルトを白く染めていた。
東北地方の桜の木は根こそぎ流され、あるいは全身どろをかぶり、この春に咲くことはないという。嗚呼。