少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

716 渡辺まゆゆ

小学3年の少女は「やっと私にも友達ができた」と素直に喜んでいた。
小学校に入学して初めてできた友達だった・・・と思っていた。
「じゃあ、ここで待ってね。私たちすぐに戻ってくるからね」
「うん、わかった」
少女は3人の友達が戻ってくることを、何の疑いも持たずに、言われた通りにずっと待った。やがて時間が経ち、からかわれただけだと気づくのに長い時間がかかった。
これが、はじめてのいじめではなかった。ただ、その子たちは、本当の友達だと信じていた。滅多に泣かない少女だが、浮かない顔で帰宅し、
「どうしたの、なんかあった?」と優しく触れる姉の顔を見たとたん、もう涙が止まらなくなった。少女の涙は一晩中続いた。
もともと少女はひどい人見知りで、いつもうつむいていた。幼稚園の時からだ。「行きたくない、行きたくない」と通園も通学も拒み、毎日毎日、母親を困らせた。
友達ができない理由は少女自身にも原因があるのだろう。しかし、それは個性であり性格でわざとじゃない。担任の先生は3人の子たちと「無理に仲良くしなくてもいいのよ」と少女に言った。しかし、その3人に無視されると「本当に誰も話をしてくれる友達がいなくなっちゃう」と自分の気持ちを上手く表現できない少女はいじめを受け入れた。
そして少女は引きこもりになった。学校が終わると速効で帰宅して、友達と遊ぶことなく、部屋でネットに夢中になった。いじめのないバーチャルな世界へと向かった。
遊ぶ友達がいないから勉強もよくした。一日6〜7時間は机に向かった。中学では常にトップクラス。テストは満点ばかりだった。
そんな彼女がネットでアンダーグラウンドアイドルというのを見つけた。アニメが好きでアキバおたく系の彼女は、そんなアイドルたちのファンになり、憧れた。
お母さんに懇願した。「オーディションがあるの受けてもいい?」
「芸能界なんてとんでもない。あなた何考えているの?」
しかし、それは人見知りの少女のはじめての我がままだった。
「どうせ受かりっこないんだから」と母親は根負けしてオーディションを許可した。
少女は可愛かった。第2期オーディションの最終選考まで残ったが、結局落選した。踊りも唄も下手だったからだ。
しかし、少女はあきらめ切れなかった。
少女は母親を連れて秋葉原に行き、少女が憧れたグループのステージを一緒に見た。客席はまばらだった。しかし、母親は「頑張りなさい」と背中を押してくれた。
少女は第3期のオーディションに合格した。今では下手だったダンスはメンバーで一番振付を覚えるのが早い少女になった。
グループを世に知らしめたヒット作「マジすか学園」は主役の前田敦子と助演の大島優子が暴力対決するバイオレンス学園物語だが、少女の演じた「ネズミ」役は唯一、暴力を使わない役。情報を画策して前田と大島を陥れ、下剋上を狙う陰気な役柄だ。セーラー服の上からパーカーを羽織り、いつも顔を半分隠していて、仲間はひとりもいない。常に単独行動だ。
パート2では仲間までも利用して、裏切りを繰り返すが、最後は友情に心が動く。ネズミの本当の姿で、少女が少女時代に失いかけた何かを、少女はドラマのネズミ役の中で見つけることができた。
マスコミの質問に「男性とお付き合いしたことすらありません。こんな私、どこがいいのか私自身にもわかりません。きっと結婚なんかできないと思います。だから一生独身なんだなと思っています。将来が不安だから、貯金してます。最近買った、一番高いものはダンスで着る衣装で7000円でした。アイドルを辞めたら、きっと普通のOLさんにもなれないし・・・」
メンバー48人の中、唯一現役高校生(通信)。
「みんなの視線をいただきまゆゆ渡辺麻友17歳、まゆゆと呼んでね」
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