少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

759 睡眠2

かつて、僕は、ものすごい強力、最強とも言える武器を持っていた。
たとえば「5分」でも熟睡できる。数秒で眠りに落ち、目覚めはスッキリサッパリだ。誰からも羨ましがられた。
たとえば、電車の中でも熟睡できる。だからと言って乗り過ごすことは絶対にない。必ずひとつ前の駅で目覚める。もちろん目覚ましも起こしてくれる人もいない。
たとえば、目覚まし時計などいらない。よほどの疲労か泥酔でもしていない限り、時間通りに起きる。心配性なので一応、目覚ましはセットするが、ほぼ1分前に目覚め、目覚ましが鳴る前にOFFにする。そして目覚ましには一応「悪かったな」と労をねぎらう。ブルペンで投げ込ませ、用意だけさせて、結局、登板のなかった投手に対するようにだ。
つまり、僕には自分の「睡眠」をコントロールできる武器があった。
何故、そんなことができるようになったのか?もちろん理由はある。
今年の8月で32歳(地球年齢52歳)になった。この間、僕は40回以上に渡る、引っ越しを繰り返した。最短期間が3カ月、最長は現在の14年。
一日も住まず、家賃だけ払ったことが2度あるが、それは40回の中に含まれていない。とにかく、住む場所、環境、枕、布団、ベッドの硬さ柔らかさ、板の間、畳、騒音などに惑わされていなら生きて行けなかった。
そして、移動。これもかなりハード。国内ならまだしも、時差があるところでは、それなりに工夫した。19歳の時、初めて行ったアメリカではそのやり方を知らず、3カ月間、昼夜が逆転して困ったことがあったが、睡眠障害というわけではならなかった。
次に仕事。新聞記者の仕事は書くことがメインだと思われ勝ちだが、実は材料集めの時間に膨大な労力を費やす。時間を約束したアポありインタビューほど楽な取材はない。事前に大宅文庫から関連記事を取り寄せ事前に対象者のプロフィルに目を通せばよい。今ならネットで自宅でその下準備ができる。しかし、そんなのは100回に1回くらいの割で訪れる副業の雑誌の仕事だ。新聞となるとそうは行かない。99.9%がアポなしの突撃取材だ。となると問題は待ち時間だ。これを、どう有効に使うかだ。
新人のころ、ルーキーの長嶋一茂の担当だった。「早朝、長嶋親子が揃って多摩川の土手を走る」という流言が流れ、各スポーツ新聞のハイヤーが田園調布の長嶋邸の前にズラリ。その一台の中に僕も居た。
深夜、1時に両国の下宿に帰宅して2時間だけ眠る。午前4時には会社のハイヤーが迎えに来て、長嶋邸に直行し、暗いうちから張り込む。
このような不毛時間を2カ月60日間連続で行い、結局、長嶋親子が多摩川を走ることはなかった。と・・・まあ、こんなことでお給料をもらうのが仕事だった。
だから、トイレには行けない。特にうんこなどご法度だ。公衆トイレで尻でも拭いてる間に一茂が出てきたら完全にアウト。会社でデスクに怒鳴られるくらいなら、取材中にお漏らしした方が伝説になる。
そこでやはり身につけたのが、ハイヤー内での短時間睡眠。5分寝ては起き、の繰り返しだ。運転手さんが、「いびきまでかいて、気持ち良さそうに寝てましたよ。大丈夫です、まだ一茂は出てきてませんから」と教えてくれる。これの繰り返しで、僕はこの技を身につけた。
それなのに・・・。くっそ〜。昨夜は眠気はあったのですが、結局、一時間以上も寝つけず、最後は負けました。やはり白い眠り薬のお世話になってしまいました。無念です。