少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

954 広州医療事情

「有没有大便?(クソは出たか?)」
水の量を完全に間違えたべちゃべちゃの玄米を口に入れたタイミングで、真面目そのもの、といった感じのフーシ(看護婦)が僕の耳に体温測定器を前触れなしに突っ込み、同時に「クソは出たか?」と尋ねる。
中国・広州の最高峰の病院でのランチタイム。
はじめての人なら、パニックを起こすかも知れない中国での日常光景。
僕はごはんのどんぶりを持ち、箸を口にしたままの状態で答える。
「有」(ヨ〜=出たぞ〜)
「ジ〜(何回)?」「イーツ(一回)」
看護婦は無言で立ち去り、僕は朝出した己のクソを連想しながら炊き損ねの玄米を噛みしめる。おかずは蛙肉の薬膳スープ、蛙肉と赤、青ピーマン炒め、青菜蒸し。高タンパク低コレステロールの蛙は小学生の時の理科の解剖実験を連想させるが、べちゃべちゃご飯以外に不満はない。
問題は「傷口のガーゼを取り替えたいので、新しいのが欲しい」と朝食後の点滴(中国語も同じ)後にオーダーしたが「医生(イーシャン=医者)に相談してから持ってきます」と言ったきり5時間過ぎても音沙汰がない。結局、日本から持参したキットでセルフ消毒。特に問題ではない。
問題なのは紙がない。二人部屋だが洋式トイレにシャワー完備で問題ないのだが、相方が患者本人と両親の3人で使うので「紙」が無い。
朝食後、大便(=タャーベン=雲子)でもしようかと思い、トイレに行くも紙無しでアカン警察。ナースセンターまで行き「チン給我紙(トイパーくれ)」と所望する。「等一下(デインシャー=ちょっと待ってて)」と言われ待つこと15分。僕だからいいけど、胃腸が弱い上海のA店長なら限界を感じ紙無しでもトイレへ駆け込む限界時間。このフロアでの最高責任者(婦長)が鍵を取り出し厳重に保管された倉庫からトイパー2個を取り出し「これで足りるか?」と僕に手渡す。僕は下痢でもA店長でもない。「十分だ」と言って受け取る。
以前に入院した時、一度だけ僕がキレたことがある。指が切れたか何かでバンドエイドを一枚、ナースに所望した。長期入院で、たまたま、前日、僕のデポジットが切れていたみたいで、午後にでも入金しようかというタイミング。
「安藤さんはお金が切れているので先に入金を済ませてください」
「おいおい、もう一か月以上もいるんだぜ。それにバンドエイド一枚いくらだよ」
「1元(13円)です」
「じゃあ現金で払おうか?」
「ダメです」
「ダメです・・・って、ほら、ここ切れて血が出てるでしょ」
「でも規則ですからダメです。先に入金してください」
優しい僕もキレました。婦長を呼んでモメましたが、「規則は規則。規則通りに行動したナースは正しく、金も払わないでバンドエイドを要求したお前がアホやねん」という回答をいただきましたが、これが国際ルールというやつ。
なんか違うけど、ここでキレるのが平和ボケ日本人の代表選手なのかなあ・・と妙に納得したりもする。
悪いことばかりではありません。ナースの注射は抜群に巧いですぞ。本当に数をこなしているだけあって、新人でもみな上手。ベテランの子なんかは芸術的ですな。点滴だって一発で仕留めてくれます。言ったら悪いけど、日本のナースの方は下手っピーがたくさんおります。
それに、門限だって、とってもル〜ズ。昨夜もお世話になった現地の知人夫妻のパーティに招かれ深夜の帰院。フロアの鍵はかかっていたけど、コンコンとドアを叩くと、夜勤のナースが「遅かったわね。お疲れ様」と笑顔で招き入れてくれる。
これが三宿の軍人病院だったら一分遅れただけで軍法会議にかけられ、日付が変更されてからの帰還なら患者とはいえ、間違いなく銃殺刑。
1000カウントダウン「5」