少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

981 蜂蜜

合計29日の入院生活。相部屋だったので、都合6人の患者と隣り合わせだった。最初の5人はいたって紳士的、何の問題もなかったが、最後のひとりは最悪だった。傍若無人、仲間との大声でのおしゃべり、深夜の大声での携帯電話及び異常にデカい着信音、および、それに出ない、および、止めない目覚まし時計、および、大音響のテレビ&ラジカセの同時視聴、および、奥さんだか彼女だかのシャワーおよび、彼女の洗濯もの(赤い女もののパンツまで)のシャワールームでの乾燥、および雲子の後始末、地響きクラスのイビキ(これに関してはお互い様で、なんとか負けないように頑張ったが勝てなかった)。
最初の5人が新チャイニーズで最後のバカが本来の姿の旧チャイニーズだと認識すれば、むしろ紳士が大半を占め、幸運に恵まれた相部屋だったと、これを書いていて気が付いた。バカに対しては文句は言わず、カーテンをフルに締めて抵抗しただけ、数日の辛抱だと己に言い聞かせた。
昨日、ホテルに移動して、久々のひとり寝。就寝時間は同じなのに、深く眠れたようで、頭は重いが、早く起きて目が冴えていたのでDVDで映画を鑑賞した。
「蜂蜜」というトルコ映画。インフォーメーションが少なく、ベルリン国際映画祭金熊賞アカデミー賞外国語映画トルコ代表作、という肩書につられて買ってみた。
内容はほとんど芸術作品の域。トルコの山中で暮らす父母と少年の日常。発声障害?の少年と、自然の蜂蜜を獲り、それを生業にしている父。
少年が通う山の小学校のクラスでは、授業でよくできた子に先生が「よくできたで賞」的な赤いバッジをつけてくれる。少年は欲しくてたまらないのだが、うまく言葉を発することが出来ず、本もまともに読めない。友達がもらうのを、いつも遠い目で見つめていた。残りの1個。先生が少年に「読んでみなさい」とチャンスを与えた。しかし、少年は、やはり読めなかった。
だが、先生は「よくできました。前に出てきなさい」と言い、少年に赤いバッジをつけてくれた。いつもなら、うつむきながら、遅足で帰る家路。少年は大好きな父にバッジを見せたくて、家路を走った。
父は数日前、蜂蜜を獲りに山に出たきり帰らず、心配していた妻(少年の母)が探し回り、警察にも捜索を願い出ていた。
少年が家の前に来たとき、大勢の人が玄関に集まり、父の事故の知らせを耳にする・・・。
セリフの少ない映画で、メッセージは読み取りにくい。
僕なりの解釈は二つある。ひとつは子供は褒められたい・・・ということ。
これはよくわかる。褒められて伸びる生物だと脳学的にも証明されている。
父が行方不明になり、心配する母を喜ばせようと、いつも「ちゃんと飲みなさい」と母から言われている、嫌いなはずのミルクを一気に飲み干すのだが、母はそれに気づいてくれない。そんな些細な日常が、子供の情操に左右する。
もうひとつ。画中にイスラム教徒が聖典を読むシーンがあり「三つの箱の中には、それぞれ、葡萄酒、蜂蜜、ミルクが入っています。好きなのを選びなさい、と言われ、私はミルクの箱を選びました」というくだりがありました。
2000年以上も昔から「蜂蜜」の重要性を示唆しています。少年の父が事故に遭った原因も「どういうわけだか、ミツバチが居なくなってしまった。(遠方の)黒岩までいけば、居るらしい。行ってみようと思う」ということで、遠方まで出かけたからだった。
つまり、これは、昨今、巷で問題になっているミツバチの世界的減少。このままだとあと数十年で絶滅という、科学的な発表もある。ミツバチが絶滅すると、地球が絶滅する・・・という学説もある。
蜂蜜が無くても人は生きていけるが、植物が無くなれば、人は生存できない。
雌しべと雄しべを結びつけ、新芽を生ませるのはミツバチをはじめとする昆虫だと、小学校で習った。太古から生息していた頑丈なミツバチが激減したという事実は、おそらくほかの昆虫も同じではないかと推測される。だが、その原因はわかっていない。
例えば原発。ミツバチより大きな人間が影響を受けるのだから、昆虫類が被爆し、繁殖活動に何らの影響が出た、という仮説も安易に否定はできない。
もしかしたら、深読みかもしれないが、なんだか、そんなことを肌で感じてしまいました。