少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1229 デビュー戦結果6

試合前40分ほど練習時間があり、ジュニアプロから少しアドバイスを受ける。パターは3分ほど練習した。ややもの足りない。兄山から、ゴルフの簡単なルールの説明を受ける。私も多少は心得ている。例えばプレー中のアドバイスの禁止。「何番アイアンで打ったの?」と相手にアドバイスを求めたら質問した側も答えた側も、ともにペナルティーが科せられる。
「いやいや、それはプロの公式戦の話で、きょうみたいな親善試合には適用されませんよ」とジュニアプロ。なるほど、やはりゴルフを知り尽くしている。
「僕のゴルフの師匠がこんな風に言っていました。ゴルフは紳士的なプレーと、あとは想像力」と中国人の丁さん。「なるほど、そういうことか」と僕は合点がいった。
さて、いよいよプレー開始。オーナーはコイントスではなく、ピントスで決めた。丁さん、ジュニア、兄山、安藤の順。デビュー早々、殿(しんがり)を務めさせていただけるとは縁起がいい。初めてのコースでは風の流れや、芝の具合、モグラや鳥が急に飛び出してくるかもわからない。だから先に打つ3人のショットは参考になる。深読みかも知れないが、ジュニアが気を利かせてピンに何かを仕込んだのかな。
さあて、安藤の第一ホールPAR4のコース、首尾よく2桁を叩く。続く第二ホールPAR5も順調に2桁。う〜ん、ここまでは想定内、予想通りだ。ゴルフにも慣れてきた第三ホールPAR4あたりから、練習の成果を見せないと下痢P兄山に酒の肴にされてしまう。ここでようやく一桁。まずまずだ。
続く第四ホールP3ショート。ホールイン1チャンス。ドラゴンズの近藤真一はプロデビュー戦で読売相手にノーヒットノーランを演じたが、その後あまりパッとしなかった。だから、僕もあえてホールイン1狙いを回避してワンオン狙いに照準を定めた。そして見事にドライバーショットでグリーンにワンオン。他の3者はオーバーと左右。
「どうして、こんな短いホールでグリーンに乗せられないの?」と投げかけるも3者とも返答がない。
「安藤さんバーディチャンスですよ、きちっと沈めてください」と兄山。
バーディーがナニモノだかよくわからないがここはバーディーより、名前がかっこいいアルバトロスでも欲しい場面。
3m22㎝のセミロングパット。コースの傾斜、芝の堅さ、ボールとの相性を瞬時に読んで、注目の中、バーディーパット。「これをねじ込めば賞金一億」と丁さんの師匠が言う通り、頭で想像して自分にプレッシャーをかけてみる。しかし、まだまだ想像力が足りない。ぜんぜん実感が湧いてこない。結局、安藤はこのパット、オーバーで外して3打でPAR止まり。
「まあ手前で止まってチキン(弱虫)扱いされるよりはマシだな」と僕が惜しみを言うと「いや、オーバーも入らなければ同じ扱いですよ」と兄山の逆襲。「えっ、そうなの?」と僕。「そうですよ」と兄山。「じゃあ、オレはチキン扱いか?」「無論です」。この兄山の一言が眠っていた、安藤の勝負魂に火を点けてしまった。
第五ホールPAR4は安藤がオーナーを務める。「皆の衆、しっかりオレのボールのコースを見て、上空の風の流れをつかめよ」とアドバイスするも、打球はなんとショートゴロ「あれ?」。第六ホールPAR4・・・ここでも安藤は順調に得点を重ねていく。
たいがいの球技は得点の多い方が勝つ。僕はそんなスポーツばかりやって来たので、本能は得点を重ねる思考になっている。だからたくさん打つことにあまり抵抗がない。まずはこの思考をチェンジしなければ。
プレーを始めるまでは気付かなかった積年の思考はクセとなり、追加点が入るたびに安堵してしまうというアイデアを逆転させるために、前半戦は意識改革に終始することにした。
この間、第五ホール終了と同時に僕は汗だくの上着を交換。他の3人は汗のシャツのままプレー。よくあんな汗臭いシャツでプレーできますな。僕ならワンホールごとにシャワーを浴びながらプレーしたいくらいだ。だって紳士のスポーツを気取るなら、そこまでせにゃあ・・・。
で、午前の部終了。
「クラブハウスでステーキでも喰いましょう」と兄山。
「クラブハウスでステーキ?はあ?何のことでしょうか?僕はロッカーでシャワーを浴びて、午後からの決戦のために瞑想でもしてますよ」
「えっ、シャワーですか?」とジュニア。
「そうです。一緒に汗を流しましょう」と僕。
「シャワーは普通、プレーが全部終わってからですよ」とジュニア。
「だから普通をやっていたら普通で終わってしまうんです。第一、そんな汗も流さないでステーキ食っても美味しくないでしょ」
「ああ、いい、うう、あの、やっぱり僕は終わってからでいいです」
(つづく)