僕の記憶が正しければ、日刊ゲンダイに入社して一年目の出来事だったと思う。知らなかったとはいえ、銀座のクラブで、日刊ゲンダイのK社長が目をかけていたママに、僕がちょっかいを出したという実話が瞬く間に社長に耳に入ることになり、あやうく取材先の沖縄から呼び戻されそうになった。
ちょっかいを出したのは事実だが、仕掛けたのはママの方。ママと言っても当時、まだ二十代で僕より年下だった。客がすべて帰った店内。店の照明という照明を彼女がすべて落として、静かなBGMから、彼女が好きだというブルーハーツの「キスして欲しい」を流され、さらにカウンターの僕の横に座り、バーボンを飲みながら、しなだれかかってきた。これでキスせん方がおかしいやろ。
ところが彼女、重大な過ちを犯した。
ドアに鍵を掛けなかったのだ・・・・（涙）。
いちゃついてるところへ常連客がどどどど・・・と。
「あっ、お前ら、何しとる・・・！」年配客に怒鳴られた。
数日後、僕はプロ野球キャンプの取材で沖縄に飛び立った。この時点で僕はまだ、あの時のママが社長の彼女だとは、まったく知らない。店に行ったのもあの日が二度目だった。
そして運命の日、僕はアニキ金本の取材をした。だからよく覚えている。
実を言うと、当日は91年ドラフト1位の町田公二郎（明徳義塾ー専大ー広島ー阪神・現広島打撃コーチ）を取材する目的でグラウンドに向かった。前日も資料に目を通し、質問の内容も準備した。
ところが、グランドに来て、すぐに気が変わった。町田選手の横のゲージで練習している左バッターの方が、はるかに鋭い打球を飛ばしている。誰だこの人、背番号「10」。すぐに名鑑で調べた。金本アニキ知憲（広陵ー東北福祉大ー広島ー阪神）同年ドラフト4位指名。
「1位の人より4位の人の方がぜんぜん凄いんですけど、金本を取材させてください」と東京のデスクに電話を入れたが「そんな知らんやつの原稿はいらん。町田の原稿を送れ」と言われ、一応、町田の原稿は送ったが「カープのスカウトの見る目は大丈夫か？ドラフト1位と4位が逆やろ」とかなんか、そんな短い原稿を送信したのを覚えている。
そして、夜、定宿の「よしだホテル」（民宿に毛の生えたようなものだが）でくつろいでいると、デスクより上のスポーツ局長から電話が入った。
「安藤、安藤、お前、何やった・・・？（彼は涙声）社長がえらい剣幕で怒鳴り込んで来たぞ〜。安藤ってやつはどいつだあ〜ってもの凄い形相で・・・。お前、何やったあ〜？」
途中入社だったので、入社してまだ半年くらいかな？そんな、社長に怒鳴られるヘマはやらかしていない。正直、何のことか全くわかりませんでした。
局長に代わってOデスクが出た。「お前、銀座の××っていうクラブに行った？」「はい先日行きました」「そこでママとなんかあった？」「ちょこっとだけちちくり合いました」「あのママ、社長のオンナだって知ってた？」「えええええええええええええええええええええええええええ！」
まあ、心の臓が止まりましたね。
その後、安藤がどうなったかは、読者のみなさまの想像にお任せするとして本題に入りましょう。以下、ネット記事の転載です。−−−−−
金本 涙の引退発表「この３年間は惨めで苦しかった」
スポニチアネックス 9月12日(水)16時11分配信
阪神の金本知憲外野手（４４）が１２日、今季限りでの現役引退を表明した。同日午後、兵庫県西宮市で会見した金本は「よく頑張ったなという思いはあるが、この３年間は惨めで、こんな苦しい人生あるのかなという気持ちだった」と胸中を明かした。
２１年の選手生活を振り返り、涙を浮かべた金本は「いろいろな悔いがある。若いとき、もっと練習しておけば、もっといい結果が出ただろうし…。また来年もチャレンジしたいという悔いもあります」とユニホームを脱ぐ寂しさを口にした。
近年は右肩のケガと闘いながらプレーした金本。今季も４番をはじめ主にクリーンアップを務めたが、チームが５位低迷を受けて来季に向けた選手育成にシフトする中、最近は出場機会が代打に限られていた。
１９９１年ドラフト４位で広島に入団し、２００３年から阪神でプレー。９９年７月２１日から１０年４月１７日には１４９２試合連続フルイニング出場（１万３６８６イニング）の世界記録を樹立した。２１年間の現役生活で通算２５６１試合出場（歴代９位）、２５３２安打（同７位）、打率・２８５、４７４本（同１０位タイ）、１５１７打点（同８位、数字は１１日現在）ーーーー以上。
いかがでしょうか、貴重なビデオ。
名前がいささか違いますが、特に二打席目のフォロースイングなんか、現在とクリソツ。一打席の流し打ちも軸足にしっかりと体重を残したまま、見事なバットコントロール。間違いなくアニキご本人だと思います。
同期入団の町田選手より一歳年齢が上なのが「謎」ですが、どなたか経緯などお知りでしたらコメントください。
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