少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1686 消えない心疵2

つづきーーーーーーネットより転載ーーーーー

格差を超えて


大災害発生直後は、全員が同じ被災者です。その中で、助け合うユートピアが生まれます。ところが、しだいに差が見えてきます。社会的強者は、いち早く避難所や仮設住宅を出て、家を新築する人もいます。

ちょっとした住所の違いで、保証金が大きく変わることもあります。家族を亡くした人もいれば、命はみんな助かった人もいます。この格差が、心を痛みつけます。一方で復興を進める人がいるほど、残された人の苦しみは大きくなるでしょう。この格差は、開いたハサミのように、時間がたつほど大きくなっていくでしょう。
阪神淡路大震災から2年後に出された「被災地からのアピール」でも、復興の「両極分化」が問題提起され、国をあげての支援と防災を訴えています。
復興格差があり、経済格差があり、心身の健康格差が生まれています。重点的な支援が必要であり、地域全体の支援が必要であり、長期的な支援が必要です。格差はあるのですが、少しでも小さくしていく必要があるでしょう。

二次被害、三次ストレスを超えて


地震津波を乗り越えた後も、失業や避難所、仮設住宅生活でのストレスなど、二次的な被害が襲ってきます。その後さらに、人間関係が悪くなったり、周囲からの心ない言葉によって傷ついたりする、三次ストレスともいえる心の痛みが起きます。
玉突き現象のように、次々と悪いことが起こり、悪循環がうまれます。ストレスによって人間関係が壊れ、そこからさらに大きなストレスが生まれます。こうなってしまうと、何をしても上手く行かない、逆効果ということになります。
たとえば、おしゃべりはとても良いストレス発散ですが、ストレスがたまれば、人の話など聞けません。あるいは、相手の都合を考えず、話しすぎてしまった結果、無視されたり、共感が得られなかったりする時もあるでしょう。

故郷では、仕事があり、仲間がいて、楽しく充実した生活をしていたのに、家族も家も仲間も失い、知らない土地で、酒を飲んでは他の客にからみ、店から出入り禁止になるといったことが、起きてしまうのです。

被災地支援、被災者支援は、発生から数年がたてば、生活全般の支援になっていくのでしょう。そして、悪循環というのは、何かが少し変わることによって、「善循環」にもなるでしょう。
小さな良い変化が、次の良い変化への連鎖を生むのです。


PTSDを超えて


心の傷が後遺症のように長く残ってしまうと、PTSD心的外傷後ストレス障害になります。突然あの時の感情がよみがえったり、似たような状況を避けたり、小さな事にもびくびくしたりします。
さらに、人生の岐路に立ったとき、気弱になり、決断できなくなるときもあります。心の痛みは、長く続くからです。こんな時に必要なのは、非難や叱責ではなく、支援ではないでしょうか。
福島県いわき復興祭。がんばっぺ!
大きな心の傷によって、長く心が痛み、症状が続くことがあります。一方、とても辛い出来事の結果、成長することがあるのも人間です。これをPTG:外傷後成長と言います。
そのためには、近くの人も、社会全体も、その人の気持ちに共感することが必要です。安心して悲しめた後に、安全と活躍の場が与えられれば、人はきっと成長していくことができるでしょう。