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少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

2357 大仏様と味噌工場

目覚めのいい朝は決まってこうです。
私は誰? ここはどこ?
安城? 病院? 中国? 東京? さすがに最近ではNYはなくなりましたが、しばらく・・・といっても、3〜4秒くらいは、どこで目覚めたのかわからなくなります。
こういう日は、決まって体調が優れます。


まだ暗いうちに目覚めたし、暑くもなく寒くもなく、空気が肌に心地よかったので軽装で外に出ました。昨日まで、重力に抵抗して、足が鉛のように重かったのに、何故か軽快に歩めます。
自分の感覚としては、玄関を出て左、つまり北方へ進路を取ったつもりが、しばらくすると、それはもう神々しいというしか表現できない朝陽が目前の地平線から、もの凄い勢いで昇り、早朝散歩の人々が感嘆しながら、手を合わせて拝んでいたので、私もつられて手を合わせ、祈りました。


まず驚いたのは、目を閉じて拝む間に、朝陽はぐんぐんと上昇していくこと。それに北だと思っていた方向が東であったということ。
となると、我が家の玄関の方位はどうなるんだ・・・と咄嗟に考えました。
現在、我が家の玄関は北東の位置にありますが、こっちが東ということは、南東に位置し、さらに良い。ああ、だからツキがあるのだな・・・などと喜びながら、さらに歩をすすめました。


我が家の前の道をただひたすらまっすぐ進むと、民家を抜け、左右に段々畑みたいなものがあり、麦わら帽子の爺さんが、藁を運ぶ作業をしていて、田んぼの中をさらに進むと、ようやくTの字に突き当たりました。
何かの工場のようで、覗くと、巨大な樽がいくつも並べられていた味噌工場でした。
お味噌ならはなまるき、に出てくるような、紺色の作業着物にたすきで袖を縛り、姉さん手ぬぐいの、うら若き女工たちが、わさわさと集合して、これから朝の体操と朝礼がはじまるところ。
怪訝そうな目で私を見る娘、あるいは好奇の眼差しで見る娘、口を押えてくすくすと笑いだす娘、朝から、まだ成人前の女工たちに照れながら、その場を抜け出した。


すると、今度は、簡易な事務室と工場を繋ぐ土間のようなところで、作業服に作業坊の中年男性諸君が7〜8人ほど集まり、ラジオかカセットテープから流れてくる経に耳を傾け、中には声を出して、それに合わせ読経する者たちもいた。みんな立ったままで、カウンターに身体をあずけた姿勢の者もいた。
やはり、味噌は日本の魂なので、朝の儀式も伝統としてあるのだろう。良い気を、造る人々に流すことによって、良い味噌を造るのだろう。オートメーションの機械は油を差せばいいが、人間様はそういうわけにはいかない。しかし、早朝のさわやかな空気と太陽が、素敵な「気」を与えてくれる。


私は無言でその場を立ち去り、オモテに出ると、朝礼をサボったのか4、5人の姉さんてぬぐいの女工たちが、草むらのせせらぎというか、水たまりで、おたまじゃくしだか、げんごろうだかを、無駄話しながらすくっていた。
そこで、私ははじめて声をかけた。
「食用かね?」
振り向いたひとりの、赤いほっぺの女工が私の顔をちらっと見て、みんなに「食用だって!」と言うと、みんなは大笑いした。
「いや、実は、自宅の前の道を、一度も曲がらずに、まっすぐ歩いてきたら、ここにたどり着いたんだよ」
女工たちはいっせいに笑った。


そろそろ帰らなくちゃ。陽は高く上がり、もう朝から昼になりかけている。
来た道を引き返すと、そこは壮大な青麦畑の中にある一本道で、左前方には、まるで富士山かと思うような巨大な大仏が、遠方に鎮座していた。
「うわーあんなでかい大仏さんがあったのか」
本当に驚いた。集落の向こう側に見え、その集落の中に、私の自宅がある。
そして、何故か、左側だけに、寺院仏閣があり、観音像もあった。右側は広大な麦畑だ。


「そうだ、いまのうちに、このあたりの土地を買っておこう」
夢にしてはリアルな現実的な将来設計も、きちんと算出された。まさに理想的な環境の地。
「坪いくらかなあ・・・、畑だから宅地申請は無理かなあ・・・」と皮算用して欲を出したところで、目が覚め、冒頭の、私は誰? ここは何処?に繋がります。


御静聴、ありがとうございました。


imee Ooi 画面は変わりません。音だけ流して癒してください。