少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

2901 悲劇と根性の佐川急便

あなたの宅配便、飛脚から? それとも黒ネコから?
はい、私の宅配便は佐川から?
だったらミドリの反則キップ、お近くの警察で15000円。

飛脚の皆さん、本当にご苦労さまです。

心情、お察し申し上げます。

都会での集配業務、駐車違反ゼロは1万%不可能です。
私、佐川急便の、駐禁防止対策横乗りバイト、1年ほどさせていただきました。

薄緑の服着たケーサツの手先が駐禁取り締まりを始めたころの話。

駐禁取り締まりは必要ですが、キャツらはベンツとか高級車はヤーさん絡みが怖いからアンタッチャブルの領域。

軽自動車とか業務用とかボロ国産車とか、明らかに弱者を狙い撃ちしてノルマ達成に躍起だから、本当に本当にタチが悪い。

佐川急便は看板背負ってるから狙い撃ちの恰好のターゲットです。

私は佐川急便の渋谷地区で日当8000円の横乗りをしていました。

助手席に人間が乗っていれば駐禁の対象にはなりません。

ただ乗っているだけで、運搬の手伝いはありません。

逆に少しでも手伝うと契約違反で運転手さんがペナルティを受けることになります。
禁止事項は居眠りとエロ本の読書。これは通行人からクレームが来るそうです。

それ以外は何やってもOK。

「渋谷の横乗りの安藤さんって、助手席を移動事務所にしてる人」で超有名人になりました。

ずっと携帯で業務連絡してましたからね。

彼らの業務のほんの一端を紹介します。

始発出勤、終電帰宅は当たり前でした。

渋谷地区の基地は数カ所ありますが、私の横乗りするトラックは鮫洲から来ます。
配達地域は渋谷区初台周辺。

彼らは途中渋滞もあり6:30までに配送荷物を4トン車に詰め込み、基地を出発します。
本来、我々横乗りバイトは8:00に現地集合でしたが、担当の運転手さんがとても善人で「どうせ通り道ですから」と現場へ向かう途中で私をピックアップしてくれるのです。

そんな彼の仕事ぶりは、配達時間8:00AM〜8:00PM。速攻で鮫洲に戻り、終電間際まで伝票作業。

食う寝る出すの生物3原則も満足にはできません。

オフィスと住宅が混在する初台地区は地獄の配達区域と呼ばれています。

集荷500個、配達400個。これを合わせて集配業務と呼びます。

合わせて900工程を12時間で移動しながらこなすのです。

もはや人間業ではありません。しかもたったひとりで。
無論、都会のど真ん中。100円パーキングなど常に満車。

入れるスペースもないのに、んじゃどうすればいいか、🅿️が空くまで待つか、路駐か、配達業務そのものを放棄するしかありません。

運転手さん曰く「オフィスなら、必ず誰かいるから集荷個数に関係なく、時間が読めるけど、民家だと留守率が高くて泣けてくる。

しかも時間指定までしておいて留守の客もいる。安藤さん、時間に遅れて文句言われるなら仕方ないけど、1、2分のフライングでも苦情言う人も居るんですよ」。
客から一定期間内に3回苦情が来ると、降格査定の対象になるそうです。

ひどいババアは通販マニアで、通販で必ず同じ服のサイズ違い、もしくは色違いを2着注文して、気に入らない方の1着を通販会社に返品する。

送料は通販会社負担なので、これは彼の成績にはならず、集荷500にはカウントされない、まったくの無駄足、ロスタイム。

あと、40インチの液晶テレビ、ベッド。

もはや、これは宅配便ではなく、アリさんマークか、サカイさんか、赤井さんか、ドラエモン屋の領域。
「な、なんでこんなの運ばなくちゃいけないんですか?」
「オペレーターが電話で受けちゃったんですよ。受けた以上は運ばないと」
これは客側の完全なる作戦。引越し屋さんに頼めば高額になるのを承知で、オペレーターを騙し安価で運ばせる手段。酷い手口。

これもドライバーの負担。しかもエレベーターのない建物。外階段で4階まで。

「手伝うよ」と申し出ましたが「万が一、安藤さんがケガされると、僕がクビになっちゃうんです」と彼ひとりで頑張った。

たった1個の荷物に20分は致命的。

ある時から労働基準局のお達しで労働時間の規制が厳しくなり、帰社後の伝票整理は残業扱いだったのが、突然廃止となり、つまりタダ働き。

12時〜13時の1時間は昼食時間として労働時間から排除。

「必ず1時間、昼食休憩を取るように」と上層部からお達しが来たが、担当地域のドライバーさん、これまで一度も昼食を摂ったこともないし(摂る時間などまったくなし)、走る姿しか見たことない。

休憩時間といえば移動中の運転席に座る時間だけ。根性の塊。

まだまだ、たくさんあるけど、書き疲れたのでこのへんでやめときますね。

彼、いまでも年賀状くれるから、飛脚してるはず。
私は4人の運転手さんにお世話になりましたが、そのうちのひと方は55歳で過労死されました。

ベテランさんで優しい人でした。

最後に佐川急便社内のトイレの落書き川柳の秀作をご紹介。
「無理するな と 上司は笑顔で 無理を言う」

ちなみに、当時、渋谷地区だけで、我々のような横乗りバイトの費用は月額800万円。

違法駐車、身代り出頭は違法とはいえ、必要悪。

これを徹底的にやったら宅配業は死滅してアマゾンからもヤフーからも荷物は届かん。

自分で取りに行くしかない。

すなわち、現在日本の経済を潤滑させてるネット通販業も壊滅する。

政府は特法を用意するか、駐車場の確保に尽力すべき。

飛脚の皆さん、本日も無事故、安全運転で頑張ってください。

ご苦労さまです。