少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

3317 メフィストなじいさん

4/19-18

昼さがりのティールーム。
人間の頭蓋骨に一枚の皮を乗せただけのおじいさん。悪魔くんメフィスト似。ひとつ挟んだ向こうのテーブルからギュッと私を凝視している。おじいさんの狙いは私の缶コーヒー。

「牛乳が飲みたい」「ジュースが飲みたい」看護婦、掃除夫、見舞客、通りすがり、誰かれ構わず懇願してる。見るからに、もうそんなに長くなさそうだ。誰か飲ませてあげなよ、僕は給食のヨグルトドリンクをおじいさんに飲ませようかと思った。あんなに痩せこけて、滋養をつけてあげないと。

奥さんらしきおばあさんが来た。
「何?背中が痛い?そりゃそうでしょ、ずっと寝たきりなんだから、痛いのは当たり前。痛いのは生きてる証拠なんだから、みんなあちこち痛いのよ。痛いのが嫌なら死ぬしかないわよ、死んだら痛みも消えてラクになるけど、死んでみる?」

文章にするとキツいけど、実際には愛情を感じる励ましにも聞こえた。

おじいさんは飲み込む力が弱く、誤嚥の恐れがあり、とろみをつけないと飲めないみたいだ。肺に流れると厄介だけど、スポイドで舐めさる程度ならいいんじゃないの?

おじいさんは離れたテーブルからじっと、無言で私の缶コーヒーを見つめている。私はコーヒーが飲みたい、でも飲めない。おじいさんが気の毒だ。

やがて看護婦さんが来る。おじいさんを部屋に連れ戻すのだ。
おばあさんが言う。
「この人、もうアタマがおかしくなっちゃったんです。昔はこんなワガママなこと言う人じゃなかったんです。アタマがおかしく・・・」

おじいさんにコーヒー少し、飲ませたらシャキンとするんじゃないのかな?今度見つけたら、鼻つまんで飲ませてやろうかね?それとも牛乳の方がいいのかな?

前回の手術の時、全身麻酔で確かにしばらくツバを飲み込めなかった。日常で無意識にやることが出来なくなるというのは、間違いなく生き地獄。やっぱり、おじいさんにコーヒー飲ませてやろう。

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