少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

5558 トヨジがれの境界線

2/13/16

余談です。お暇な方限定です。

たとえば、あんまき高校の同級生のトヨジ。
隣家との境界線がどこだかわからない。

「そんなもん、考えたこともなかったワ〜」と言う。代々の家だから、当然、家賃というものは発生しない。

聞いたことすらないと言う。
生業は大工だから傷んだ箇所は、ホームセンターで材料買ってトントンカンカンで一丁あがり。
日の出とともに起床して、陽が沈んだら寝る生活。ゆえに、電気は不要。田舎ですから農業用水も飲料水にできるし、野糞する場所は無限にある。ゆえに、上下水道不要。洗濯なら川でできる。
鍋物が好物だから、冬は卓上コンロを使うけど、基本、ガスはいらない、ってか、都市ガスはもともと来てない。
唯一の趣味は焼酎と釣り。「魚は魚屋で買った方が安いだろ」というと「そういう問題じゃねえ」と熱く語る。そして釣った魚の自慢話。余った魚を近所に配ると、農家から米やら野菜やらが倍になって戻ってくる。いざとなりゃ、ちょこっと畑から失敬すりゃ、家族分のビタミンは十分に補給できる。
2人の子供はすでに独立して、孫までつくった。医者の言うことを聞いてタバコもやめた。おかげでメシがうまい。こってりラーメンもがっつりイケる。ゆえに太った。髪はもうない。
若気のいたり、夫婦喧嘩で女房の嫁入り道具、巨大衣装箪笥を、柔道の一本背負いのごとく投げつけたこともある。「あかん、もう、あんなことできへん」つまり体力筋肉が衰えた。
晩酌は生まれてこの方、一晩とてサボったことはない。継続は力なり、努力家でもある。この時期はお湯割り。もう年寄りなので3〜4杯が適量。つまみは女房任せ。仕事が終わると、必ずかあちゃんにカエルコール。道草は一切しない。年に数回、外飲みする時は、かあちゃんに送迎してもらう。遅くなった時は、町で2つしかない安城タクシーか大興タクシーを呼ぶ。帰宅してかあちゃんに夜食を作らせないため、必ず栄楽飯店でラーメンをすすることにしている。
そんなトヨジさん、ある日、自分がホームレスになるなんて、想像したこともないだろうな〜。

一方の私。あれは確か82年だったか?横浜スタジアムでの横浜vs中日最終戦。前日のゲームで中日が勝てば優勝決定でしたが最終戦にもつれ込んでの近藤中日野武士軍団。関東地区応援団長だった私は129試合目の応援で燃え尽き、おまけに懐の全財産も燃え尽きました。周りの学生を十数人集めたところ、全員が全員すってんてん。本当にバカな連中です。帰りの汽車賃すらない。仕方なく、全員から小銭をかき集め、なんとか1人分、東京までの片道切符代をつくり、明日のゲーム前までに、親の金をくすねて来いと指示。最終ゲームは入場無料なので、人数分の汽車賃さえあればなんとかなる。というわけで、当日前夜はスタジアム外で、普段着で野宿。あまりにもひもじいので、ゴミ箱を漁りに行ったところ先客が2名。はじめて見たホンモノのホームレス。
「いよいよ人生の瀬戸際だな、ど〜する」「わからん」と言う名言を吐き、2人のオッサンはもくもくとゴミ箱を漁っていました。彼らが去ったあと、私はゴミ箱を漁りましたが食料はすでになく、防寒用の新聞紙だけを拾って仲間に配りました。忘れられない光景で、まさかこれが将来の自分の姿なのかと、恐怖におののきました。