少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

5648 一杯のお粥と二本の水 その8

2/22/21

『一杯のお粥と二本の水』その8

 まるまる3日間、時間にして約72時間後、つまり遭難してから生命維持活動が急激に下がる分岐時間を過ぎたあたりで、ようやく自力で動けるようになった。
 手始めに、まずシャワー。久しぶりのシャワーは気持ちがいい。自身の袋に包まれたウズラの生卵の裏はべたべたで心地が悪かった。その間に洗濯。小便を漏らした箇所は風呂場で水洗いするも、頭を上下にするには辛い。冷蔵庫にある、いつか購入した鶏の卵を2個ほど鍋で茹でる。洗濯は終わるも、まだ階上のテラスで干すまでの余力はない。

 さて、全豪オープンラグビートップリーグが開催されたとのこと。ファンは大喜び、マスコミもはしゃいでいる。相模原で行われたサントリーvs三菱重工相模原は75-7でサントリーが圧勝。NHKのアナは「観客はさぞ大喜びだったでしょう」と、そういう不用意な発言はするもんじゃない。

 世界的に有名プレーヤーをナマで見れたという観点のみに立てば、そうかもしれないが、ラグビーで、しかも社会人のトップとして75-7のゲームをやる価値が、そこにあるのか?と問われる内容である。こういうミスマッチが日本のラグビー人気に水をさすのだ。敗れた三菱重工相模原を責めるには至らず。三菱だって、そもそもプロを目指したチームではない。さらに現段階で、本社の主力となる航空機事業は、日本の軍事規定とコロナの航空業界の不況で大打撃を受け、瀕死の状況と聞く。本来、ラグビーどころではないはずだ。

 相模原のスタジアムは最寄駅から、かなりの距離と聞く。チケットも抽選で、行きたい人が全員行けるわけではない。そこまでして行った方々に75-7の、いわばエキジビジョンマッチと言われても仕方ない格差。こういうゲームは両チームの選手に怪我人が出ないことをひたすら祈ることしかない。

 ラグビーはフルコンタクトのゲームで「感染」をテーマに思考すれば、テニスの全豪オープンとは少し事情が違う。
 選手&サポートメンバーを入れ現役約30名。メディカルスタッフその他、約20名の合計50名がひとつの塊となって移動、行動する。当然、テニスのように2週間の隔離は不可能だ。このチームが全部で16チームある。単純計算でも800人になる。そして8会場での運営スタッフと観客を含めて、そこからクラスターが発生しない可能性はゼロではない。

 話は私が倒れた14日、日曜日午後に遡る。

 宗教病院での常識的にはあり得ない酷い対応。例えば、重度のメニエル病患者、あるいは重度の糖尿病患者の低血糖などによる意識混濁状態では、本人はもう何もできない。医療関係者、しかも医師、看護師であるならば熟知の範疇である。怒鳴れる元気があれば、激昂していたけど、それができないから伏せていた。当方、医療従事者の端くれ故、多少の棘は、コロナ禍を差し引いて飲み込む容量はあるつもり。されど、あの時の状況は度を越していたために、1時間の苦情となった。あれが自分のことだからよかったけど、子供や老母、身内に対してだったら、弁護士を入れる。

 後日(20日)、宗教病院の担当者と面会したところ、新たな事実がわかった。
「言い訳にはなりませんが」を前提に担当者が話す。
「安藤さんがくるちょうど13日前に、同じ杉並区の病院でクラスターが発生しました。そちらの患者さんの受け入れのため、全職員のシフトがすべてやり直しとなり、ベッドの調整やらで、てんやわんや。実際に救急車での受け入れはすべてストップ。もし、安藤さんがタクシーではなく、救急車を要請した場合、うちには運ばれて来られない状況でした」
とのこと。

 なるほど、それが最初にわかっていれば、こちらの対応も違った。
「先に申し上げるべきでした」と担当者。よし、この件は落着として、ラグビー、その先の東京五輪はどうか?

 親しい医療関係者、現場レベルの方3名に尋ねてみた。
「迷惑」「非常に迷惑」「可能なら中止にしていただきたい」とのこと。
まず、現実問題として、五輪開催にあたり、医療関係者を有料無料に関わらず、2週間、約1万人を拘束することは現実的ではない。
 フリーランスの医師の報酬(時給)は相場で1万〜12000円だ。よほど、裕福で慈愛に富み、自らの善行が醜い利権屋政治家どもの利益になることを承知でやれる医療従事者が、果たして何人いるのだろうか?

 自分の担当、受け持ちのベッドに重傷軽症に関わらず、1人でもコロナ患者がいたら、それを放置して五輪に協力する医療従事者がひとりでもいると思うのか?
何もかもが利権で始まり利権を追求する近代五輪。トップリーグプロ野球を含め、そこから万が一にもクラスターを出したら、目に映らない、医療機関という箱の中で何が起こるのか想像して欲しい。

意識朦朧の期間も、回復した今も、信念に変化も妥協もない。
コロナ禍、親しいFBF、友人知人の高齢の親御さんが、複数(確認できているだけで6名)、お亡くなりになった。つい先日も一名の方から訃報が。

死因はコロナでないにせよ、結局、最期のお別れすら出来なかった人もいる。これはコロナが原因である。自分の母親も高齢であり、完全に予備軍である。

生命と五輪、ラグビーと家族を、どうか天秤にかけていただきたい。

つづく

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