少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

056 JALのゴーマン(前編)

JALANAに搭乗して気分の悪い思いをしたことがありますか?
おそらくそんな方はいないと思うし、いたとしても稀でしょう。僕自身も一度として機内で不愉快な気持ちになったことはありません。
多くの航空会社に搭乗させていただきましたが、JAL-ANAキャビンアテンダントは世界最高峯と言って問題ないでしょう。アメリカのへたな航空会社のビジネスクラスよりJAL-ANAのエコノミーの方がよっぽど上級なサービスだと感じます。
それだけに残念ですね、今回のJALの経営崩壊は。
しかし僕には「当然だ、ザマーみろ」という気持ちが過分にあります。
それは日本航空のゴーマンな態度に何度も不快な思いをさせられたからです。客と直接、対面するカウンターの日本人地上アテンダント、ならびにスチュアーデスさん(CA)たちは実によく訓練されていて、まず客を不快にさせることはありません。
問題はビルの中にいる連中です。エリート意識の塊みたいな輩が多く、まるで役人のごとくの対応で辟易とさせられます。
まず人命にかかわることに対してのJALの対応。
数年前の中国広州白雲空港でのこと。私は2名の日本人重症患者さんを日本へ搬送するお手伝いをしていました。通常、重症患者さんは飛行機には乗れません。それは当然です。しかし、そのためにJALが請求する医師や病院の診断書やら許可証やらを取りよせ、広州ではなく香港のJAL事務所に送信したり、約1週間にわたりやり取りし、車いすの手配などを含め、完璧に近い状態で準備しました。
移動当日、JALの指示通り、医師看護婦同伴で指定された時間通りに空港に到着しましたが、入口で事前待機しているはずのJAL側は誰も居ませんでした。しかも季節は12月でとても寒い時期です。私は急いでカウンターまで走り、どういうことか問いただしましたが、JALのカウンターはそんな話は聞いていないと呑気な顔で言う。では香港との綿密なやりとりは一体何だったのか?そんなこと言っても始まらないので英語を話せる人間を呼んで事情を説明し、ただちに車イスを要請するも待つこと30分。患者2名はくそ寒い空港入り口付近で動けず立ち往生。なんとか建物の中まで入れましたが、大きな空港でかなり寒い状況。
しかし、待てど暮らせど車イスが来る気配はまったく無し。「とにかく日本航空の日本人のスタッフを呼んで欲しい」と要望するも信じられないことに日本人のスタッフは一人も居ないとのこと。当時、成田便だけでも共同運航便を含めれば1日3往復。加えて大阪便が1往復。名古屋、福岡便が隔日で1往復。1便あたり200人が乗り降りするとしても最低1600人以上の日本人が日本航空を使って広州白雲空港に行き来するわけで日本人社員が一人も居ないという事実にまず愕然としました。これは実話です、念のために。車イスが来ない理由は「日本航空は独自の車イスは持っておらず、提携先の中国南方航空のものを借りて使っております。車イスは全部で10台ありますが、お客様が到着した時刻に全部出払っていたみたいです」。あ然としました。
結局、1時間以上も待たされ、もう患者さんはぐったりで、精神的にも怒り心頭で血圧も高めです。しかし日本航空の中国人スタッフは「私たちの責任ではない、だって聞いてないんだも〜ん」という雰囲気。患者さんがいなければぶん殴るところでした。
その挙句、やっと来た車イスを日本航空のスタッフが押すわけでもなく空港職員が押すのです。それはいいとしましょう。しかし、JALの職員は誰一人として我々に同行せず、あとは勝手にやってくれといわんばかり。空港スタッフは日本語はおろか英語も話せない人たちです。
その結果、飛行機にたどりつくまでに税関と手荷物検査の2つの行列をクリアしなければなりません。患者さん2名は優先ラインに並ぶことは許されましたが、ご家族と我々は一般の長いラインの最後尾につけというのです。私はせめてご家族だけでも患者と同じ優先ラインに入れてくれと懇願しましたが、受け入れられませんでした。もしJALの職員が同伴してくれたとしたらどうでしょうか、それでも同じ結果だったでしょうか?相手の税関は日本語も英語も通じない人たちです。
結局、患者2名は我々が税関などを通過する約30分もの間、さらに放置されました。
我々は余裕を持って、出発時間の2時間半前にすでに空港に到着していました。しかし、我々が手荷物検査を終え、搭乗ゲート内に入ったころ、すでに出発30分前になり、搭乗口にお集まりくださいとのアナウンスが流れました。患者さんとご家族は早めに行って、ラウンジで少し休もうと、ビジネスクラスのチケットを購入していました。しかし、そんな余裕は全くない状況。「JALのビジネスなんか滅多に乗れないから、せめて女房、子供にラウンジを見せてやりたかった」とは患者さんの弁ですが全く同感です。
で、少し急ぎながら(白雲空港のJALの搭乗口は最遠端にあります)やっとの思いで搭乗口にたどり着きました。
ところが、これだけ酷い目にあったのに、まだ続くんです。
「機内の準備のため出発が少し遅れます」とのこと。まあよくあることです。が、今回ばかりは我慢なりませんでした。
最終的に40分近い遅れ、だったらラウンジに十分行けたじゃないか・・という思い。そして、あまりの寒さに患者さんがぶるぶると震え出したのです。私は機内にある毛布を貸してくれと、目の前にいるJALの中国人スタッフに依頼しました。が、それは出来ないという。しかも仲間のスタッフと談笑しながら。仮に日本人スタッフがいなくても中国人スタッフがきちんとした対応をしてくれるのなら、私は構わないと思いますが、こんな程度の教育しかしていない従業員にJALの制服を着せるのは、ほとんど詐欺のようなものではないのか。航空運賃はただ単に飛行機に乗るだけの料金なのか、だったらファーストもエコノミーもなく一律料金が妥当だろう、にも関わらず格差をつけるということは快適なサービスを含んだ料金ではないのか?もしそうだとするならラウンジの件を含めてこれは詐欺以外の何物でもないと私は思います。
私は「この人が寒くて震えているのが見えないの?わかったら飛行機の中から毛布を2、3枚持ってきて」と優しくお願いしましたが、彼女の答えは以前として「ノー」でした。もちろんすでに、我々の上着を患者にかけていますが、「ノー」はないでしょう。
患者を少し別の場所に移動させ、私は猛烈に抗議し、だったら俺が取ってくる、と強引に飛行機に乗り込もうとしました。この押し問答の騒ぎを聞きつけ責任者が飛んで来ました。香港人ですがようやくまともな英語が通じる人でした。
事情を話すと彼はひた謝り、すぐに毛布を用意しろと、アホ従業員どもに強い口調で命令。アホ従業員はぶ然丸出し顔で私に毛布を投げつけるようにして渡しました。
誤解しないでいただきたいのは、私の怒りはこのアホ従業員に対する個人レベルの問題ではなく、こうした体質の根源が天王洲アイルにあるご立派な日本航空の本社ビルの中にあるということです。
香港人の責任者がやっとまともな対応をしてくれたし、患者さんの前でこれ以上もめることも出来ないので、ここは大人しく収めました。
ところが、その後の日本航空本社の対応はこのアホ従業員にも増してひどいゴーマンなものでした。
結局、患者さんの状態は悪化し、成田に到着後そのまま空港内の診療所に直行です。私以外に医師がついていてくださったので、患者をお任せして空港でJALと交渉できましたが、もし自分ひとりだったら大事に発展した可能性は十分考えられたことでしょう。同行してくださった医師の方もこのJALの対応は考えられないと憤っていました。
ここまで書いて怒りがよみがえってきました。それ以来、同じ路線で同じ条件でJALANAのどちらかを選べるとしたら何の躊躇もせず100%ANAを選択します。「そんなクレーマーの一人や二人ほっとけ」というのがJALの本音でしょう。しかし、そういう一人をないがしろにすることが、JALのゴーマンたる所以です。私は一人ですが、私には家族や友人がいて、このブログに来てくれる知らない人もたくさんいる。それがイメージできない輩、JALのご立派なビルの中でふん反りかえっている連中が今日の緊急事態を招いたのだと断言します。(続編に続く)