少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

200  臓器移植考・1

日記を綴り、まだ一年未満ですが200回を数え、読者数も延べ6000人を超えました。お付き合いしてくださった読者のみなさまに御礼申し上げます。日刊ゲンダイ安城北中の後輩にあたる中村君から「グーグルで検索しても少数派日記が出てきますよ」とメールが来ましたが、これがどういう意味なのか僕にはピンときませんが、悪いことではないようです。
200回メモリアルをNYで書けるのは偶然ですが、それを踏まえて今回は僕の現在の仕事である「海外臓器移植コーディネーター」の原点となったNYと移植の現状について書こうと思います。本来、僕と接点を持つことは好ましいことではありません。関わりを持たずに一生を過ごすことが望ましいのです。一方で、正確な情報を持つことが自分や家族、友人知人を救う有力な手立てであることも事実です。善人悪人老若男女の区別なく襲ってくる病魔から身を守るためにも情報のアンテナを広げてもらいたいと思います。
1998年ごろから下北沢などでレトロショップを経営する傍ら、NYの邦人専門医療機関「日本クリニック」でマーケティングの仕事を始めました。仕事内容は患者の獲得、つまり集客です。日本の病院で営業という業務があるかどうかは知りませんが、患者数が即ち病院の利益ですから、営利も経営の大きな目的であることは当然で、何人も否定はできません。
集客方法はコマーシャルが中心です。NYの日系テレビ局からミニコミ誌に至るまで、すべてのメディアに一番大きく露出する戦略で、結果を出しました。NYにも同様の医療機関はいくつかありますが、病院がCMを打ついう発想はほとんどなく、日本クリニックの独り勝ち状態でした。日本国内でも医療機関のテレビCMは美容整形病院くらいで、例えば慶応病院や女子医大がCMを打たないのと同じ感じです。
次に、企業への健康診断の売り込みです。健康診断は病院の営利の大きな柱であることは日本も米国も中国も全く同じです。この時はスーツに着替えて企業を訪問し、夜は医師らとともに、担当者を接待するのです。日本でこんなことをあからさまにやったら日刊ゲンダイあたりに叩かれるでしょう。
もうひとつ重要なことはクリニックの新規開設です。できることなら全米に日本クリニックを展開して、邦人患者の助けになりたい、ということが本来の理念でしたが、医者ありきのビジネスなので、邦人医師、もしくは日本語可能な外国人医師がいなければ成り立ちません。つまり医師探しが最大の仕事でした。
邦人の滞在人数と競合医療機関の数が新規開設の基準になるのですが、最終的には医師が見つかるかどうかです。僕がいた時期ではケンタッキー、サン・ディエゴ、LAと3か所の候補があり、サン・ディエゴとLAは開設に至りました。その間にも中国進出の計画もあり、北京、上海も探しましたが、やはり医師を見つけることができず、計画はペンディングとなりました。まあ、ざっとですが、これが僕の本来の仕事で、毎月1回2週間毎のペースで日米を行き来しました。
そんなある日、日本クリニックの上司から「腎臓移植を希望する患者さんがいて、アメリカで調べたけど、ほとんど不可能。中国にできる病院があるみたいだから、そこへ行って調べてきてくれ」と依頼されたのが2002年のことでした。
米国時間の昨14日、宿泊させていただいているTさん宅のテレビでNHKを見ていたら「いのちみつめて」というタイトルで、阪大付属病院で心臓移植を待つ3人の患者さんのドキュメントを放映していました。また、本日、現地で読んだ朝日新聞には心臓移植のため渡米予定だった22歳の日本人男性患者さんが脳梗塞を起こし、渡米を断念したという記事を読みました。
この2つのことが重なり、今回のブログのテーマを決めました。重い話になりますが、しばらくお付き合いください。(NYにて、つづく)