211 喫茶店設立状況4
設立実況3と4、210と211は時系列が逆転しています。
5月5日(水・こどもの日)この日はボランティアのヘルプはS子ちゃんのみ。ところが材料が足りなくなり、どうしても足が必要になる。市役所勤務の高木君に電話を入れるも「連休中に飲み過ぎて体が動かん。家族サービスが」どうしたこうしたと言い訳をはじめたので「民間人の役に立ってこそ役人の誉れ」と説得し「んじゃ車の運転だけで勘弁してくれ」というので買い物だけで勘弁してあげた。しかし、この日は男手が必要、買い物を終えた高木君を簡単に帰すわけにはいかない、奥の間で控えてもらった。その間にも高木君は「選挙対策のマニュアル本」と首っぴき。さすがに可愛そうなので、山形は栄光冨士の地酒を1本進呈し帰してあげた。「俺みたいな大酒ぐらいは鬼ごろしで十分だ。こんな立派な酒はもったいなくて飲めん、誰か他の奴にやってくれ」とそんな彼の謙虚さが好きだ。そういえば「のん兵衛」を自称するトヨジも同じことを言っていた。「俺は毎晩飲むけど、一番安い焼酎をサワ―で割って飲むだ〜。だから高い酒はほかの奴にやってくれ・・・」と。
午後、やはり材木が足りない。材木屋のH美の親父さんのところへ材木を取りにいかなければ。中学の同級生のM子に電話を入れると8歳年下の旦那と来てくれた。親父さんの工場へ行き、また無料の材料を漁る。高級車ボルボに若旦那がせっせと資材を積んでくれる。M子もいい旦那に巡り合ったものだ。親父さんに有料の床材の代金10万円を支払う。
5月6日(木)トヨジ休み。ひとりで午前から深夜2時すぎまで作業。中国の「あやちゃん」から「今度いつ来るの?」とメールあり。偶然、中国で知り合った彼女ですが新安城に半年も住んでいたことがあり「栄楽飯店」「ヨーカ堂」「漫画喫茶(たぶん館のこと)」の常連だったので「私もまた新安城に住みたいです」などとあやちゃん。この時点までで西側のカウンター完成。床貼り完了。東側北側の壁の板張り完了。トイレは5割完了。入口は8割完了。手つかずは階段部分とカウンター内部。あとこまごまとした塗りつけ。
5月7日(金)相変わらずトヨジは朝が早い。7時にはピタッと来るので母親が「高校時代のトヨジ君とイメージが違う」と言う。筋肉痛もピークを越え少しは緩和されたが「肉体労働者の凄さがわかったか?」というトヨジに「十分わかった。まいった」とこたえる。この日、トヨジがヨーカ堂の2階にある「スガキヤ」でラーメンをおごってくれるという。小学生時代から新安城にある「スガキヤ」のラーメン(290円)は大好きで実家に来た時は必ず食べるが母親は「不味い」という。しかしラーメン通のM子夫妻も「美味い」と京都から戻ると必ず食すという。
ラーメンとそぼろご飯のセット(500円)をゴチになる。味はいいのだが、そぼろご飯の盛り付け方が実に雑。ファストフードとはいえ、まばらな客で焦る必要もなく、も少し、丁寧に綺麗に盛りつければいいものを・・・。ちょっとした心配りができるかどうかで客の印象も変わるもの。そのあたりはきちっとした店にしたいと痛切に思う。それにしてもスガキヤは美味い。スープも飲んだ。デザートのクリームぜんざいを作業服の男ふたりで、見つめ合いながらすする。
5月8日(土)トヨジ休み。午前からひとりで作業。東京の倉森さんから「安藤さん、今チケットが届きました」と午後2時少し前に電話が入る。チケットとは僕が倉森さんに用意したラグビーW杯最終予選、日本代表VSアラビアンガルフ戦。キックオフはこの日の午後2時、つまりもう間に合わない。「ええ〜」と僕。木曜日の午前中に350円分の切手を貼り、速達のスタンプを3つも押して出したのだから、翌日配達で金曜日には到着するものだとばかり思っていたのに・・・。「つまり郵政民営化は逆サービスですか?」と郵便局に皮肉を込めてクレームを入れると「連休明けで郵便局のトラックが渋滞に巻き込まれた可能性がある」との回答。連休中ならともかく連休明けの6日に渋滞とは辻褄が合わないが、こちらも確証がないので一旦保留。すると姉がたまたま同じ安城のポストから金曜日の午前中に出した練馬区に住む息子宛ての普通郵便が土曜日の午前中に届いた「早いね〜」と言う。おい、ちょっと待てよ、ということは同じ安城から同じ東京宛てに出した郵便物、速達便が24時間後に出した普通郵便より遅く届いたことになる。「これはどういうことか」と再度、郵便局に問い合わせると「同じ東京と言われても、住所が違うと時差が生じるケースも・・・」と苦しい言い訳。確かに姉は練馬区へ、僕は渋谷区へ送ったのだが、郵便局は何時代の話をしているのだろうか?佐川も黒猫も必ず翌日の午前には普通にかつ完ぺきに配達してくれる時代だというのに、まだまだ公務員気質の甘さが抜けないのだろう、まったく気合いが入っておらん。ただの速達ならともかく、これでチケット2枚がパー。何の保証もないことを承知で郵便局を信用した当方にも落ち度があり、これは深く自己反省。多少、料金が高くとも佐川を使えばよかったと後悔しても後の祭り。速達代金の270円は申請すれば返してくれるそうですが、観戦を楽しみにしていた倉森さんに申し訳けないことをしてしまいました。ちなみに倉森さんの息子さんは青学の同級生で、かの桑田圭祐さんの息子さんと、一緒にバンドを組みインディーデビューをしています。
そんな中、今度は材木と塗料を購入に行った大型日用大工専門店カーマ豊田若林店でクレームです。床に塗るニスが欲しかったのですが、同じようなのが3種類ほどあり、どれを選んでいいのかわからず、店員に「塗料に詳しい人を呼んでください」と頼んだところ、待たされること十数分。やっと来た店員に使用目的を説明し、どれが最適か尋ねるといきなり缶に書かれている製品説明を読みだした。
「君、それを読むだけなら僕でも読める、君を呼ぶ必要はない。この3種類はどこがどう違うのか教えて欲しいのだよ」と僕。すると店員は「成分が異なります」と答えた。僕はぶん殴るのを我慢して「成分が異なるから製品名も製造会社も異なるのだよ。君は客をバカにしてるのかい?いやいや、何も知識がないのに、ここに来た君は運が悪いだけで、そんなに悪くは無い。僕が頼んだのは、塗料に詳しい店員さんだよ、とりあえず大至急、店長さんを呼んで。お客さんが激怒してます・・・って」と僕。
サラリーマン店長がすっとんで来ました。「製品の違いを聞いているのに成分が違います・・・って答えはないだろう、お前の店は吉本の養成所か?」とまずはビーンボールを一球。「はあ、不適切な回答だったと思います。製品の違いにつきましては、それぞれのメーカーに問い合わせてみないとわかりません・・・」と店長。蹴飛ばしてやりたい気持ちを抑えて「じゃあメーカーに問い合わせしてくれる?」と僕。「あ、いや、きょうは土曜日でメーカーがやっているかどうか・・・」と店長。「民主党じゃないんだから期待だけ持たせて、出来ないことを口にするということが、その場しのぎのお客をバカにした行為であるという認識が、店長の立場にあるあなたにはありますか?」と僕が責める。質問の内容が難しすぎたのか、店長は「あわわ・・・」と口から泡を吹き出しそうになる。
僕は優しく言った。「こんな大型店にある大量の商品、すべての商品説明をしろとは誰も言わない。でも、材木を売って、それに塗るペンキも売っている。僕はここでかなりの量の木材を買った。それに塗るペンキを求めている。ペンキの種類が複数あるのでどのペンキが最適ですか?と聞いている。店の人は、さあ・・・わかりません、という。こんないい加減で無責任な店があっていいんですか?」と。
店長は「はあ・・・」と小さな声で答えたので「いいんですか?と聞いとるんじゃ」と少し大きな声で怒鳴ってみると、店長は「よくないと思います」とまた小さな声で答えた。
「この店に塗料に詳しい店員さんはいらっしゃいますか?」と僕は再び優しく聞いてあげた。「おりません」と店長。「あなたはお客をナメていらっしゃいますか?」と僕。「ナメていません」と店長。「ではどうして塗料に詳しい店員を置かないのか?もしくはあなた自身が勉強して塗料に詳しくなろうとしないのか?もしくは塗ったサンプルを展示しないのか?。一客である僕でも思いつくようなことを、店長たる肩書きのあなたが、なぜ感じ取れないのか?」
ちなみに店長に「これとこれはどう違いますか?」と塗料を渡して尋ねてみました。すると店長は僕が渡した塗料を手に取り「こちらは屋外用となっておりますので、屋外で使用していただくもの。こちらは室内用となっておりますので部屋の中でお使いいただくものです」ときた。先ほどの店員君に負けず劣らずのバカ丸出しの答え。肉屋で豚肉と牛肉の違いを訪ね「豚の肉と牛の肉の違いです」と答えられたようなもの。時間の無駄と気付き「とりあえず名刺ください。本社にこんなアホな店長でいいんですか?と報告しておいてあげますから」と恫喝してあげる。
夜、彼がクレーマーにからまれたと愚痴りながら安酒をあおるか、ありがたい指摘だったと反省するか、それで今後の彼のプロフェショナリティーが決まるでしょう。
5月9日(日)母の日。我が家では母の日にカーネーションの一本も贈りません。何をプレゼントしても「無駄遣いだ」と感謝より非難されるので、子供の頃より廃止しています。食べ物も魚と生野菜が好きな僕と肉や脂ものなどしつこいものが好物の母親と意見が合いません。外食が多い僕は薄味の料理に飢えていて、サラダなどもドレッシングなしで食べたいのですが、どうもかみ合いません。
日曜日のランチは必ず奥さんと外食することになっているトヨジが午後に登場。「いい歳こいて毎週奥さんとデートかい」と内心「?」に思っていた僕ですが、多忙の中も必ず奥さんとのささやかな決めゴトを実行し、円満な夫婦生活を持続するトヨジが偉く思え、羨ましくも思えてきました。
そして「うちのかあちゃんから」とトヨジがぶらさげて来たのが「上郷・東屋」という老舗和菓子屋の「抹茶ロールケーキ」。さっそく食べてみましたが、これが絶品。実に機目の細かいスポンジ生地、しっとりとした食感と抹茶の香り、しかも甘くない。洋菓子屋にはない薄味の生クリームも舌触りが実に滑らか。かすかな甘さは和三盆を使用だろうか。だとしたら和菓子屋ならではの上品な甘さに納得だ。そして中心にあずきが入り、3種の食感とあずきの甘味が口内で一体となる。
「これは美味い」。メニュー決定第一号です。後日、東屋さんに交渉に行く予定。こんな身近にこんな銘菓があるとはね。僕はこういう品を探しだして、メニューにしたいのです。これがコンセプトのひとつです。