少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

218  玉川上水の黄菖蒲

我が家から玉川上水沿いを上流に5〜6分歩くと京王線笹塚駅」に出る。途中、世田谷区と渋谷区の境界線をまたぐのだが、世田谷区は上水上に蓋をして遊歩道にしているのに対し、渋谷区は自然のままの姿を残し保護区にしてある。わずか200メートルほどの距離だが、カルガモ親子や白鷺の子が季節になると餌を探しにくるのどかな一瞬のオアシスである。
わずか一か月前、NYに行く前のぽかぽか陽気の日には小さな流木の上で亀が2頭でごろごろしながら甲羅干しをしていたっけ。そして昨日(18日)の風景は水面一面に黄菖蒲の黄色の花が咲き誇り、川の形に添って長い絨毯のように駅まで続いていた。
「ああ、綺麗だな・・・。絵心があるか、カメラが得意だったら、いい作品ができるだろうなあ・・・」そんな感想を持ちながら、川沿いを歩いていた。
東京には堀切菖蒲園という江戸時代から伝わる菖蒲の名所がある(行ったことはないのだが)。北斎や広重も好んで浮世絵に菖蒲を描いた。菖蒲の花は紫系しかなく、黄色というのは外来種で珍しいそうだ。土手の緑と遭い交わって実に鮮やかで美しい。都会のど真ん中にいて、こんな花畑を眺めながら通行できる場所なんて、そうそうありゃしない。
そして今日、そぼ降る小雨の中、駅に向かういつもの道を歩いていると、7人もの作業員が黄菖蒲を電動草刈り機で見事なまでに丸坊主にしているではないか。
私は思わず土手から叫んだ「こら〜お前ら、何やっとんじゃ〜〜」
責任者が出てきてこう言った。
「住民から刈れという苦情がきたもんで」
「それにしても、あんなに綺麗に咲いているものを刈る必要はないだろう。せめて花が散るまで待ってやらんかい。苦情がきたら満開の桜でも刈るというんかい?」
「まったく同感だ。我々も基本的には花が咲いている植物は刈らないことにしている。しっかし、オカミとアホな住民には勝てんのよ」
なかなか骨のある清掃員だったので、刈ってしまった茎を糊でくっつけろとは言えなかった。ホントに情緒もクソもないアホな住民がいるもんだ。税金を無駄に使ってまでやることか?
そういえば、愛知県某市市役所に勤務するT君が漏らしていた。ある日曜日、市民から緊急連絡を受けた当直職員を介してT君に連絡が来た。T君は家族サービスを中断して電話をかけてきた市民の家に向かった。市民はT君に言った。
「おい、俺の家の前の道、市道だろ。草が生えとる、今すぐ刈れ」
T君は黙って、わずかに生えた市道のぺんぺん草を抜いて持ちかえった。その話を聞いた時僕はすぐに「今からそいつの家に殴り込みに行くぞ」とT君の手を引いたが「そんなことでいちいち殴り込みしてたら、毎日どっかに殴り込まにゃあかんぞ」とT君は笑った。
そんことに、いちいち熱くなるのは、やっぱり少数派なんだろうか?