231 TOKYO変人録
中国で携帯電話を失くし、帰国した今月4日のこと。成田空港のコンビニでオムスビと日本茶のペットボトルを買い、京成電鉄のホームでそれを頬張るのが僕の帰国後の儀式です。いつもは汽車の中でメールチェックをするのですが、携帯が無いのでずっと人間ウオッチングをしていました。東京には変人がゴマンといます。成田から自宅までの2時間で見た特筆変人3人を書きます。
まず汽車の中で見た40代のオッサン。それにしてもそこまでする必要はないだろう・・・と思うくらいのしかめっ面でメールを打っていました。何が気に食わないのかはわかりませんが、左右の眉毛が眉間でくっつくんじゃないかと思うくらいの形相でメールの文字盤を睨みつけ、怒りのオーラがほとばしっていました。
最初は立ったままでメールを睨んでいたおっさんですが、席が空いたので僕の対面に座り、僕が今まで見たことのないしかめっ面でさらにメールを打ちつづけます。しかし、しばらくすると、おっさん、疲れ果てたのか、かけていたメガネがずり落ちるくらいの勢いで眠ってしまったのですが、その形相たるや、先ほどのしかめっ面のまんま。眉間に寄せられたシワとシワの間に10円玉が何枚か挟まるくらいの強烈な勢いです。余程の怒りなのか、あるいは地顔なのか。僕はおっさんの肩をポンと叩き「も少し力抜いて生きろや」と言ってやろうかと思いました。
さて、京王線笹塚駅を降り、玉川上水の土手を歩いて家路につく僕の斜め前を歩いていた変人さんはどうやら日本人ではないバテレンさん。
50代小太り白人、メガネ、半ズボンリュックスタイル、茶髪チリ毛。街路灯もまばらな薄暗い路なのに難しそうな本を顔に近づけて読みながら歩いている。しかも両耳にヘッドホン。さらに本を持つ左手の手首にはコンビニ袋がぶらさがり、本のページをめくる右手を袋の中に入れては、その中からピスタチオを一粒ずつ取り出し、カリカリと食べては、殻を捨てずに器用にもうひとつのゴミ用の袋に入れている。
僕はそのバテレンさんの肩をポンと叩き「この暗闇で字が見えますか?
何で歩きながらピスタチオなの?もっと気楽に行けよ」と言ってやろうかと思いました。
きょうも変わった奴がいっぱいいたな・・・と我が家に辿り着くと、家の前に何やら見慣れぬ大きな袋を発見。ブービートラップ(罠)かも知れぬと思いつつ、何だろうと袋を開けると、なんと中から仮面ライダーの衣装一式が。ヘルメットはもとより、ブーツから手袋、マフラーに変身ベルト、ライダー衣装の上下と完璧に揃っていた。落し物にしては大きすぎる。いったいどこの誰が、何の目的で、これを我が家の軒先に。とりあえず家の中で着替えてみた。ゼブラーマンに変身する哀川翔の気持がものすごくよくわかった。何だか急に自分が強くなったみたいだ。
哀川翔みたいに、そのままのカッコウで外にジュースを買いに行くまでの勇気はなかったので、自宅の風呂場に入ってみた。中一と小四の女子が入浴中で、突然の仮面ライダーの侵入に、小四の子に「こわいよ〜ん」と泣きだされてしまった。くっそ〜、仮面ライダーは正義の味方だというのに・・・。