少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

239  喫茶店設立状況13

6月16日、トヨジが地元の町内会の知り合いで、電気工事のシマちゃんを連れてきた。実にすっとぼけたオッサンで、職人仲間からは島田電工ではなく暇田電工と呼ばれている。
「最近は仕事がなくてヒマでヒマで。家にいると仕事に行け・・・ってカアチャンにどやされるで、仕事にありつけて助かったわ」とシマちゃんは電気工事にとりかかる。
「ところでシマちゃん、碍子(がいし)持っとるかん?」と僕。
「碍子ってあの碍子のことかん?」
「そう、あの碍子」
「今どき、珍しい人がおるだなあ、そりゃあ持っとるよ。そういう人がおるかと思って捨てんでとっといただよ」
おお、ダメもとで言ってみたが、持っとったか〜、嬉しいぞシマちゃん。久々のクリーンヒットである。
「碍子っちゃ何だあ〜?」とトヨジ。職人のトヨジでも知らないので説明しよう。現在では電気の配線は壁の中にビルトインして外部から見えないようにしているが、昭和初期は室内でも配線は天井や壁に露出されていた。碍子は主に白地の陶器製で、壁に等間隔で打ち付け、配線がたるまぬようにそこに配線を巻きつけるのだ。
どういうわけか、僕はこの碍子が好きで、東京では2軒の家を建てたが、2軒とも配線は碍子を使った。骨董好きな大工さんが、どこからか探してきてくれたのだ。おそらくもう製造されていないので貴重な品である。そんなわけで、レトロカフェは昭和時代の碍子による外配線なので見に来てくださいな。
「ところで冷蔵庫とかは業務用が来るだかん?」とシマちゃん。
「業務用だけど、カウンターが狭いからそんなデカくない」
「まあ、デカさはどうでもええけどが、それっちゃあ動力だかん?」
「ん、動力っちゃあ何だあ?」と僕。
「なんだあ、あんた動力かどうかも知らんのか?」とオッサン。
「トヨジ、お前わかるかあ〜?」と僕。「わからん」とトヨジ。
「ちっ、しょうがねえな〜。ちょっとふたりともこっちへおいでん」とシマちゃんの電気講座がはじまる。よくわかったような、ぜんぜんわからないようなレクチャーを受けた僕らだが、結論から言うと、もし僕が予約した冷蔵庫が動力だと、簡単には使えないということ。中部電力に使用の申請をすることから始まり、動力を導入するための特殊な配線工事が必要になる。その費用、およそ5万円。
さっそく冷蔵庫の購入先テンポスバスター名古屋西店に確認の電話を入れると、キッチンの冷蔵庫はセーフだが、ケーキ用のショーケース型冷蔵庫は動力タイプだった。
「ほ〜だら〜だから言ったじゃん。よくあるだ〜、素人が注文して商品が来たら動力で使えんかったって話が。ほんなもん使えるようにしてくれ、言ったって、動力なん、普通の家庭のコンセントじゃ使ええへんじゃんね〜」強烈な三河弁でツバを飛ばしながらシマちゃんは力説した。
いずれにせよ、ここはシマちゃんの値千金のタイムリー2塁打に違いはない。さっそく予約した冷蔵庫をキャンセルして、家庭用コンセント対応の冷蔵庫に変更。いずれも中古だが、僕が最初に予約したやつは15万円で一番安値だったので、これに決めた。変更したやつは家庭用対応で20万円だが、動力の配線工事5万円を考慮するとプラマイ0になるので即決した。
それにしても危機一髪。シマちゃんがいなければ、冷蔵庫が来てから大騒ぎになっていたことは間違いない。
そんなシマちゃんの欠点をひとつ。冗談が通じない。
その日、トヨジとシマちゃんがほぼ同時刻に帰宅。トヨジがひとっ風呂浴びて、自宅近くの公園を散歩していると、同じく散歩中のシマちゃんとばったり。「あれ、シマダ電工さんじゃん、久しぶり、最近どうしとる、元気でやっとらっせるかん?」とトヨジがおちょくると「何言っとるだん、さっき新安城の現場で会ったばっかじゃんか」とシマちゃん。
新手のボケとツッコミか?