少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

277  広州にて13(詐欺られる2)

さして欲しくもないもの、ましてや盗品、そんなものに手を出して、帰国直前に御用は御免だ。しかし、本当に男はしつこい。
その時点での僕の心理は、早く足の治療がしたい60%、400元ならまあいいか〜20%、でも盗品はちょっとな20%・・・といった感じ。
つまり偉そうなことを言っておきながら、足の治療を除けば、欲しい気持ちと、盗品に対する後ろめたさは五分五分ということだ。
男は再び僕の横にすり寄り、バッグから件の「iphone」を取り出し、僕の横に置いた。「これは充電器だ」と言い付属品も。「そして早く400を寄越せ」と催促する。「公安はもう去った、大丈夫だ、早く早く」。
僕は根負けした。もうとっとと消えてもらいたい。財布から400元(約6000円)を出し手の中で丸めて男に渡した。
男は、また元の定位置に戻った。これで足の治療に専念出来る。すると男は再び僕を呼んだ。「もう一台ある。今度は300でいい」。「もう要らん、早よ行け」僕が強い口調で言うと男は立ち去った。
僕は、どこかで公安が見ているんじゃないかと、緊張しながら、やはり盗品を買ったという後ろめたさに後悔した。
僕はすぐに「iphone」をしまわず、そのまま放置しておいた。バッグに仕舞わなければ、まだ僕のモノではなく売買が成立したということにはならないだろうという、素人考えからだったが、とりあえず剥がれた足の親指の爪を消毒し、抗菌剤を塗り、包帯を巻き固定した。そして横に放置された「iPhone」を手に取ってみた。
ところが動かない。というか、スイッチがどこなのか、よくわからない。まあ、でもさっきはよく動いていたので、あとで飛行機の中でゆっくり操作すればいいか。僕はその程度の気持ちで、あたりを気にしつつ、さりげなくそれをバッグに仕舞った。
腹が減った。僕は自室から持って来た、前日の残り物のゆで玉子2個と全麦食パン数切れ、スライスチーズ一枚をベンチに広げた。我ながらお気の毒な朝食です。しかも玉子はもうすでにヤバかったので1個は食べたけど、残りは捨てました。
足の治療を終え、貧しい朝食も済まし、いい時刻になったので、僕は荷物を持って、ゲートのある階上へ向かった。すると「iPhone」ショップがあったので「こりゃグッドタイミング」と飛び込む。
するとお店のお兄ちゃん、僕の盗品の「iPhone」を瞬間見るや「お客さん、それコピー品です」と。「な、なんだ、つまりそういうことか、やられたわ。まっ、でも盗品よりコピーの方が気が楽でええわ。まあコピーでもあれだけ鮮やかに映れば、まあええか。で、スイッチはどうやって入れるの?」
お兄ちゃんは親切に対応してくれた。僕のコピーの「iPhone」を手に取るが「あれ、あれおかしいな、電池切れかな・・・」とお兄ちゃんが苦闘する。すると今度は奥から「どうしたの?」とお姉ちゃんが登場。お姉ちゃんはお兄ちゃんから「iPhone」を手渡されると「フン」とひと言。「これはどんなに操作しても無駄よ。だってこれ店頭用のただの模型ですもの・・・」「・・・」「・・・」
そ、そういうことか、ちくしょ〜、まんまと・・・。トホホ・・・。
本当はこんな恥ずかしい間抜けな話は公開したくないけど、詐欺の手口はみんなで公表して被害を防がないとね。次回、広州領事館にも報告して警告書を作成してもらいます。2台目を300元で買わなかったのは助かりました。本物は58000元するそうです。興味のある方で、値段を知っている方でしたら、2台目もいってたかも。最初に本物を手に取らせてすり替える古典的な手口でしたが、詐欺に遭うという時は集中がそこにない時に起こります。今回の僕は足の治療に集中していたため、警戒心がほとんど失せていました。みなさんも是非お気をつけください。(つづく)