少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

391  元ドラゴンズの涙

2010年日本シリーズ第一戦は5−2で千葉ロッテマリーンズがドラゴンズに圧勝した。僕はシーズン前から西村ロッテを応援すると公言していたが、テレビ観戦していて、やっぱりナゴヤドームのレフトスタンド、つまりロッテファンの中に居たいと思った。テレビで見ていても、中日ファンに比べ、ロッテファンの声援の方がはるかに熱く、迫力があり、心がこもっていた。福岡でのホークスとの試合の時もそうだった。だから奇跡の逆転劇が生まれたとそう思っている。
僕がロッテを好きで、応援する理由は3つある。ひとつは東京中日スポーツ時代に担当させてもらった。とても暖かい球団だった。鹿児島キャンプでも宿舎は選手と同じ。普通こんな球団はない。だから大浴場で素っ裸で選手と交流が出来る。当時は有藤監督だった。どうせ記事にならないのに、毎朝、記者を囲んでコ―ヒ―タイムを開いてくれた。これは普通の球団は恒例だ。おっと例外の球団があったわ、そう落合ドラゴンズ。親会社が新聞社なのに記者会見もコメントも出さないアンチマスコミ監督。楽天時代の野村監督はリップサービス楽天を全国区にした。日本シリーズが地上波で全国放映されない理由を察していただきたい。
次に、川崎球場という昭和レトロのおんぼろ球場でプレーしていたという境遇。選手のロッカールームにはスノコすらない。土間の上に新聞紙を敷いて、選手は着替えをするのだ。今なら草野球の球場でもそんな施設はない。トイレも男女兼用で女性用トイレがない。だから当然、女性ファンなんて見かけたこともない。選手は試合前、スタンドで売っている発砲スチロールに入った400円のラーメンをすすって試合に臨む。しかもユニフォーム姿で観客と同じ列に並んで買う若手もいる。僕らも選手と同じように記者席で原稿を書きながら、ラーメンをすする。露天の記者席は投手の球種がよく見えるけど、打者のファウルボールがバックネットにぶつかるたびに、ネットの鉄サビが真下の記者席にパラパラパラと落ちてきて、僕らのラーメンのどんぶりの中に入る。これで記者たちは鉄分を補給する。
選手と観客の距離が近い。「お前きのう川崎のソープで見たぞ」とヤジられて顔を赤らめる選手。ヤジに食ってかかる選手。ほとんど記事にならないのに、みんな必死でやっている。勝利投手賞の米5キロは生活がかかっているから、期日までに届かないと不安になる。そんな選手たちを好きにならずにはいられなかった。
そして3番目の理由。ロッテには元ドラゴンズがやたら多い。
強烈な印象は落合とのトレードで涙を流した牛島和彦投手。そして同時にトレード要員となった上川誠二平沼定晴、花子こと桑田茂投手。
当初、ロッテは落合の交換要員としてエース小松辰男を要求。しかし、小松は北陸中日新聞の強力な販売資源であり、小松を放出することは新聞の販売上、不可能だった。
そこでロッテは守護神・牛島和彦を要求。牛島は2日間、行方をくらましたが星野新監督の説得で、本当に泣く泣くロッテへ。説得の交換条件として将来、ドラゴンズの監督の座を約束されたが、星野監督阪神の監督問題で中日本社と喧嘩別れの形となり、結局、牛島にはその約束が果たされていない。
古くは水原茂監督と確執があった江藤慎一選手(私が一番好きな選手)がロッテへトレードされた。今でも、すぐに名前が浮かぶのは宇野勝平野謙与田剛、田野倉などビッグネームが中日を追われるかたちでロッテへ移籍している。私はそんなロッテを応援せずにはいられないのです。(つづく)