少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

393  元ドラゴンズの涙2

日本シリーズ第2戦。ヒドい試合でしたね。12-1でドラゴンズの圧勝、というかロッテの自滅。先発のなんとかいう外人投手を引っ張りすぎたベンチの采配ミス。解説の小早川毅彦氏など、こんな投手を先発で起用すること事態がミスだとロッテ首脳陣をぶった斬った。大差がついた後半は次の試合の選手の肩慣らし合戦で観る価値なし。島田紳助の「行列のできる法律相談事務所」にチャンネルを変えた。
さて、落合とのトレードでロッテに移籍した、ドラゴンズの4選手だが、その後どうなったか・・・。
すでに牛島和彦は泣く子も黙る、日本を代表するストッパーだから当然VIP待遇である。しかし、ロッテのキャンプは極端にハード。「こんなにきつい練習は浪商以来や・・・」と顔をしかめていた。
高校(簑島)、社会人(大日本製紙)、プロ(中日)と行くとこ行くとこでチームが優勝した優勝呼び寄せ人・上川誠二は、流石の苦労職人だ。どんなハードな練習でも、黙々と笑顔でこなす。本人に訳を聞いたら「地顔です」だそうだ、確かにね・・・。
さて中堅の花子・桑田茂投手は相変わらずしゃべらない。女の子みたいにしゃべらないから花子と名付けられた。
問題は2年目だったか3年目だったか、若手の成長株・平沼定晴投手だ。星野さんが監督に就任して大喜びしていた矢先、大好きな星野監督から放出を言い渡された。はっきり言って、桑田と平沼は人数合わせの要員だ。1対4の前代未聞のトレード。落合がナンボのもんか知らんが、牛島を含め、彼らの評価は落合の4分の1。つまり4人で落合ひとり分かい。まあ、実力の世界だ。上がそう評価したなら、それに従うしかない。
トレードを通告された平沼定晴はあ然とした。ほぼ同期に宮下昌巳、山本昌広中村武志、三浦(将)らがいた。
「ウチが獲らんと落合は巨人に持っていかれるんや」これが星野新監督の殺し文句だった。
牛島、上川のビッグネームはともかく、若手の平沼は、まだこれといった実績がない。人気球団ドラゴンズにいれば、出入り業者やメーカーからグラブやスパイクなどの提供が自在に入る。メディアに自社メーカーの道具が載れば、宣伝効果となり売上に直結するからだ。何の苦労もなかった。ところがロッテはどうだ。試合前に400円のラーメンをすする球団の若手にメーカーが道具を無料で提供するわけがない。テレビに映らないのだから、どんなに提供しても宣伝にならない。同じプロ球団でも雲泥の差がある。
キャンプで身も心も、どろどろになり、もう口もきく気力もなくなった平沼が宿舎の鹿児島グランドホテルに戻ると数箱の段ボールが届けられていた。発送元はドラゴンズの串間キャンプからだった。
段ボールの中には新しいアンダーシャツ、ソックス、グラブに練習用のスパイク、それに平沼の好きな銘柄のスナック菓子が入っていた。送り主は、先に書いた、宮下、山本昌、中村、三浦らドラゴンズの若手同僚からの差し入れだった。
今となってはよく覚えていないのだが、僕が東京中日スポーツの原稿で、平沼のそんな悲惨な現状を書いたらしい。その記事をキャンプ地で読んだ宮下らが、自分たちの支給品をかき集めて平沼に送ったそうだ。
「安藤さんの原稿のおかげで、あいつらが、なんかたくさん送ってきましたよ」
翌日から、また元気な平沼に戻った。宮下や山本昌、武志、三浦らの予期せぬ優しさが僕も嬉しかった。(つづく)