少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

593 再会上海6

彼女の名前はAY。フリ―ペーパーのおまけについてくる無料のガイドブックから、番号を拾い、最初に電話をかけた時、彼女の携帯からは着メロで中島美嘉の「雪の華」が流れた。とても印象的だったので心に残っていた。ただ唄っているのは中島さんではなく中国人の歌手だった。
日本の携帯の着メロのようにクリアには聞こえなかったが、僕はその唄に合わせ「雪の華」を唄った。すると、電話に向かって唄う僕の「雪の華」に気付いたS店長が「あっ、僕もそこにかけたけど、出ませんでしたよ」という。「なんだ君も同じところにかけたの?僕たちは効率の低い作業をしているね」と笑った。
「とりあえず知り合いの日本人が経営している店に行ってみましょうか?そんな遠くないですから。そこでどこか紹介してもらいましょう」というS店長の意見に賛同し、その店を訪ねるが、日本人は不在。その店はナイトクラブで1000元はかかるので、再び電話作戦を開始するが、ふと店長が気づいた。「あっ、安藤さんこのお店ですよ。ほらさっき雪の華の着メロの電話番号があったでしょ」。
なんと、その店はS店長の知り合いの店の並びの店で、すでに「閉店しました」という貼り紙が貼られていた。
「なんだ、潰れちゃったったのか」と僕が言うと「そんな店ばっかですよ」とS店長がいう。他人ごとのようにサラっと言ったが「そんな店」の中には当然、僕らの「G」も含まれているのが、まだ寒い上海の夜に切なかった。
そんなことを思っているちょうどその時、不意に僕の携帯が鳴った。
「あなた、さっき、電話くれましたか?ごめんなさいね、私AYです。今どこですか?」
「今どこですか?って聞かれても・・・僕には僕がどこに居るのかわからない」
僕はS店長に「僕たちは今どこに居るの?」と尋ねると彼は「彼女の店の前です」と答えた。そして僕はS店長に電話を代わってもらった。
「彼女、店を移転したそうです。新しい店になったそうなので、どうします、行ってみましょうか?そんなに遠くないし」とS店長が言うので「そだな、ここで電話をかけまくってもラチがあかないから、とりあえず覗いてみるか?電話つながったのも、何かの縁だし・・・」と僕らはタクシーをつかまえた。(つづく)