少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

683 祭りと喧嘩1

「祭りに喧嘩はつきもの」とはよく言ったものだ。
7月22日夜、結局僕は外に出た。ぶらりと歩き、もし、静かな店があればぶらりと入り、静かに日本酒でも飲み、もし、そんな店が無ければ、原田芳雄さんの家まで歩き、冥福をお祈りして戻ってこよう、そんな気持ちで下駄履きでドアを出た。
自宅前の遊歩道では、地元の高校生くらいの男女十数人がまだタムロっていた。特に悪さをしているわけでもない。僕は祭りのあとの、ひんやりとした商店街に出た。紙くずひとつ落ちていない、静かな商店街にたくろうさんの「祭りのあとの静けさは・・・」というメロディーを思わず口ずさんだ。
そして、見たことのない看板を見つけた。スナックだ。位置関係からすると、僕の自宅の斜め後ろに当たる。たまにだが、カラオケや人々の喧騒が深夜に聞こえてくるが、この店からに違いない。ただ、以前にあった店と違う新しい店みたいだった。もちろん以前の店を覗いたこともない。僕は地元では飲まないからだ。
この夜は少し飲むつもりだったから、とりあえず覗いてみた。カウンターと奥に座敷があり、民家を無理やり改装したような感じだったが、カウンターの中のお姉さん2人がおいでおいでするのでつられてみた。
カウンターにはおっさんが一人、奥の座敷には小学校低学年くらいの女の子2人とその家族グループのような男女がいた。そして、彼らは相当、騒がしかった。
「まあいいや、一杯だけ飲んで帰ろうか」などと僕はカウンターに腰かけ、日本酒を冷やで一杯だけ所望した。「今夜はお祭りがあって騒がしくてすみません。いつもはこんなんじゃないんですよ」と台湾人のママさんが極限の申し訳ない顔で謝るので、僕は「いえいえ全然問題ないですよ」と中国語で返してみる。となれば、当然話が弾み、日本酒一杯では帰れるはずもなくボトルを入れるはめになる。(といっても一番安い鏡月という1本2000円の焼酎だが、これがめちゃマズい。あと1000円出して、いいちこにすれば良かったと後悔する)。
しかし、僕がボトルを入れた本当の理由はカラオケがあったからだ。歌わずして帰れまい。
僕は台湾出身のママのために台湾出身の歌手が歌う「ハナミヅキ」を徳永英明バージョンでオープニングを飾った。
基本的に僕は客席ではバラードしか歌わない。リクエストがあればBZの「OACEAN」やレミオロメンの「粉雪」もサザンの「タバコロードで会ったセクシーばあちゃん」だって長淵さんの「おうちへ帰ろう」甲斐バの「翼あるもの」も歌うけど、客が居る時には控えている。
何故なら声がマックスになり、客の会話が成立しなくなるから、遠慮しているのだ。ましてやここは深夜の住宅街、ロックやポップス系は言わずとも御法度だ。
静かな曲を選び、さらにマイクを遠ざけて優しく歌う。これがカラオケラーのマナーである。
されど、奥の乱痴気騒ぎのファミリーの盛り上がりはすさまじい。店の人も、カラオケの音より子供の声が外に漏れるのが心配という感じだ。
とにかく、カラオケのBGMなどほとんど聞こえてこない状態だ。それでいてヤツらが歌うのは子供のための「ガンダム」やら「仮面ライダー」やらのアニメソング。子供が「KARA歌って〜」と言えば「KARA」を入れるのはいいのだが、結局誰も歌えず「ララララララ」と言う部分だけ大合唱するというありさまだ。
そしてついに、後から入って来たご年配ご夫婦の奥さまがキレた。
(つづく)