少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

699 6臓器同時移植

昨日(8/1)両国のブックオフで買った「神様からのプレゼント 6臓器同時移植を乗り越えた赤ちゃん」(大橋之歩、由江著=小学館)を一気に読んだ。
生後11カ月の赤ちゃん(大橋陽佑ちゃん)は2004年12月にマイアミのジャクソン記念病院で、神の手と呼ばれる加藤友朗医師の執刀で小腸、大腸、肝臓、膵臓脾臓、胃の6臓器同時移植手術を受けた。手術は8時間以上にも及び、そして成功した。
著書には陽佑ちゃんの発病から、移植に至る経緯と家族の心境や苦難。約1億円の移植費用の募金活動の顛末。重なる幸運などが描かれていた。
仕事として、少しでも移植に携わる者としての感想は「奇跡」の連続という幸運を感じたことと、赤ちゃん(陽佑ちゃん)の驚異の生命力。それに加藤医師をはじめとする医療チームのスキルの高さと経験の豊富さ。あとはアメリカ医療の施設費のべらぼーな高額さです。
佑ちゃんの腹は、切腹したように真一文字に切られ、移植に至るまで合計8回も開腹手術され、自分で生死を選択できる大人なら耐えられないほどの試練に耐えてきました。
移植医療、特に死体移植はドナー(提供者)が死ななければ、順番が回って来ません。「早く移植ができますように」と患者が祈ることは「早く誰か死んでください」と祈ることと同じこと、などと言う人もいますが、それは違います。患者や患者のご家族は、自身が心の片隅で、自分も誰かの死を願っているんじゃないかという気持ちに、心を痛めているのです。
ひとりの死がひとりの生を産むならまだしも、結果が成功するとは限らず、患者が亡くなるケースも当然あるわけです。特に、幼い命はドナーもレシピエント(移植患者)も、本人はもとより、その家族全体が、薄い氷の上に乗せられた絶望と希望の狭間を彷徨うのです。
加藤医師のように、素晴らしい技術を持たれた先生が日本にいるのに、日本の法制度や、ドナーの啓蒙不足が、まだまだ救えるはずの幼い命に対して未熟だと、僕は強く感じます。
佑ちゃんの現在が気にかかり、ネット検索したのですが、当時の記事しかヒットせず、近況をクリックしても反映されませんでした。
本のあとがきを読んでいたら、この本を企画編集したのが僕の知り合いでした。マスドラ会(マスコミドラゴンズ会)のメンバーの校條(めんじょう)君で、しばらく会っていませんが、球場に行けばきっと会えるので落合が辞めたら球場に行こうかと思います。