少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

832 さよなら真木さん1

昨28日のこと、代々木上原でYちゃんと会った。彼女とは19歳の時に出会い、もう15年が過ぎたそうだ。アンティーク好きの彼女には、仕事を手伝ってもらったこともある。
新しくできたカフェで打ち合わせをして、やはり新しくできた「まるかみ水産」(駅構内の居酒屋)へ移動。ここは例のK会長の店だ。ホッピーなどを飲みながら過ごし、僕が唄いたくなったのでカラオケ屋に移る。
代々木上原駅から坂を上ると井の頭通りの交差点に出る。ここが上原三丁目の交差点だ。かつて、僕はここの角地にあった廃墟ビルを借りて、「掘り出し倉庫ビリケンカンパニー」という年中無休24時間体制の骨董店を開いていた。当初はビルを壊すまでの2年契約だったが、結局は工期が遅れて6年間営業することになった。
24時間やっているので、深夜にはいろんな人々が訪れた。有名人では忌野清志郎さんが酔っぱらってちょくちょく覗いてくれた。松田優作さんの奥さんのみゆきさんは、レトロなミシンを買ってくれた。夜中に大量な食器を買ってくれた中年女性は西川峰子さんだった。大雨で家が流され食器も無くなっちゃったのよ・・・と言っていた。古尾谷雅人さん主演のVシネマの撮影も店内で行われた。アド街ック天国にも登場した。件の宮城のズーズー弁社長と出会ったのもこの店だった。
毎日のように品物が入荷したので、ファンやマニアのようなお客さんもたくさんついたが、入れ切れない商品を、無断でビルの空き部屋に入れて保管していたら、大家にばれて、えらい怒られもした。
そのビルはすっかり立て替えられて今は堺正章さんの元奥さんの田中美里さんがおしゃれなティーブチックなどをされている。
そんな時代、深夜2時になると「あんた偉いわねえ」とコーヒーを入れてくれたのが真木さんだ。
「掘り出し倉庫」の前には「歌謡喫茶&スナック真木」「世界のビールが飲める店・imagine」「ローソン代々木上原三丁目店」があり、とても親切にしていただいた。
真木さんは昭和5年生まれの、おばあちゃんだが、とてもおばあちゃんには見えない元気溌剌で、昼間はカフェをやりながら書道教室を開いたり趣味の油絵を描いたりして、夕方からはカラオケスナックにして、おつまみを自分で作っていた。時々だが、焼き魚に煮物、ごはんと味噌汁を盆に乗せて「いいから食べなさい」なんて届けてくれたりもした。
そして店じまいの深夜2時になるとコーヒーを入れて持ってきてくれたのだ。
深夜、店に立ち寄ったズーズー弁の社長が競馬で200とか300とかすったという話をしていた時、偶然、店にいた真木さんが「あんたバッカじゃないの」と一括すると、ズーズー弁は「おでもさあ、ずぶんで、バカなのはわかるけんどもさあ、はずめで会った、知らねえ、おばちゃんによお、面と向かってバカっつわれたのは、いんや、はづめでだっぺやな〜」と言い、そのまま真木さんファンになり、上京すると「コーシー飲むっぺやな〜」と必ず喫茶真木へ足を運んだ。
加藤登紀子さんが東大の学生時代から通った店とかで、なんかの番組で偶然、見たこともある。東大駒場キャンパスが近いので常連のT教授とも昨夜お会いした。
そんな真木さんが、お亡くなりになった。(つづく)