1099 七転八転
今日(昨6/10のこと)もまた、僕の目の前で人がこけた。新横浜の霊波之光教会へ向かう渋谷駅の雑踏でのこと。若い女性だった。「大丈夫ですか?」と声をかけると、彼女は恥ずかしそうに「すみません」と言いながら自力で立ち上がり、何事も無かったようにスタスタと歩き出した。僕はやんわりと彼女の後ろ姿を目で追った。すると彼女、しばし歩いて立ち止まり、したたかに打ちつけた膝に手を当てさすってみた。
朝、玄関を出る時、まさか渋谷駅でコケるなんて、彼女の本日の想定にはなかったことだろう。
さて、冒頭に「また」と記したが、どういうことか?
実はここ数日、奇妙な現象が続いている。記憶にあるだけで五人。それも女性ばかりが僕の目の前で転んでいる。ほぼ一日置きのペースである。記憶深いのは先週の御茶ノ水駅下りのプラットホームでのこと。混雑している中央特快から空いている各停に乗り換えようとホームに降りたタイミングでホームにいた松葉杖の若い女性が、僕の目の前で崩れ落ちた。
すぐさま、僕が背中から彼女を抱き抱える格好でホームに横たわせた。僕は彼女に飲酒と糖尿の低血糖を確認したがいずれもないという。「気持ち悪いです」と言い、冷や汗をかいている。しかも過呼吸。何らかの不安が急激に彼女を襲い、極度の貧血状態に陥ったのかな?「救急車呼ぼうか?」と言う僕の問いかけに「大丈夫です」と彼女。近くにいたご婦人が「駅員さん呼びましょうか?」と言うのでお願いした。彼女、ショートの茶髪で可愛いかったな。駅員が意外となかなか来なくて御茶ノ水駅プラットホームで十分ちかく、彼女、僕の腕の中で横たわっていて、あとから来た野次馬が見たら、完全たる「援交年の差カップル」。やっと来た駅の担架に乗るのを彼女は拒みましたが「急ぐ旅ではないのなら半刻ほど休ませてもらいなさい」と優しく声をかけると「わかりました、ありがとうございます」と彼女。こちらこそ束の間の「愛と誠」ごっこをありがとう。ちょっとだけ不埒な気分になってしまいました。
もうひと方は二十代OL、ドラゴン斉藤さん好み。数日前、雨のあざみ野駅でのこと。改札へ向かう僕と、改札から出てきた彼女。つまづくものなど何もないフラットなフロアーに、何ゆえか、彼女つまづいて、僕の胸に飛び込んできた。
こっちも驚いて半歩ほどあとずさってしまったが「ごめんなさい」とひとこと彼女。う〜ん、女性のシャンプーの香り、う〜ん癒される〜(クレヨンしんちゃん風に)。「大丈夫ですか?」と声をかけた時にはもう彼女は後ろ姿。一瞬の出来事にメアドを聞き出す隙間もない。これが月9ドラマなら、渋谷、御茶ノ水、そしてあざみ野の3人の彼女が同一人物で、ぎこちない愛が始まるのになぁと思いつつ、正やんの唄のようにはいかんのね、と諦めました。こけた残りの二名様はお年を召されたおばちゃんでしたので割愛ということで・・・南無・・・。
以前、アムウェイのおばちゃんに、たっぷりと皮肉を込められてこんなことを言われたことがあります。「安藤さんとこに寄ってくる人はみんな病気の人とか問題を抱えた人ばかりやねえ。類は友を呼ぶって言うけど本当ね」と。ナヌ?
そうばかりではありませんが仮にそうだとしてもそれが何か?と心でお答えしました。
で、極めつけが昨夜の新宿駅。Oさんの見舞いから帰る途中。国鉄・新宿駅で京王・新宿に乗り換えようとコンコースを歩いていると、ちょうど階段の下を差し掛かった時。階段からオッサンが落ちてきた。
オッサン、なんとか手すりにつかまり、転倒は免れたものの、したたかに壁に頭を打ち付け、流血。同僚らしきオッサンが「大丈夫か」と肩を貸していたが、どう見ても大丈夫じゃないだろう。同僚がいたし、怪我したのがオッサンだったので放置してあげました。
追記・・・先々週の金曜日でした。「1113の彼女」のお店に行こうと、代々木上原を歩いていたら、若いお兄さんが、丸正(スーパー)の横の植え込みにおじいさんを捨てているのを見つけました。なんだろうと思い近づくと、おじいさんは、相当、飲まれているようで、失禁。それでも、杖で必死に立とうとしているので手を貸してあげると「お前は誰だ?」と言われ「ただの通りすがり、名乗るほどのモンじゃござんせん」と答えると「そうか、すまん」とじいさん。
じいさん、一日3000円、酒を飲む・・・と決めているそうで、返り唾と返りよだれをいささか浴びながら、自宅にお届けする。自分で鍵を開けていたので独り暮らしなのかな?代々木上原駅近く、坪400万円は下らない一等地の一軒家。じいさん長生きせえよ・・・と祈りながら、僕は返りよだれを浴びたシャツを公衆トイレで着替えてから、彼女の店に向かいました。