1222 デビュー戦結果1
中国でゴルフビジネスを展開することになった。そのため、プレーしないという選択肢はなく、ブルジョアスポーツに手を染めなくてはいけなくなった。
貧困層から富裕層まで対応できる器になろうというのが僕の目標なので、乞食もすれば野糞も垂れる、移動の旅客機でファーストクラスでシャンパンをあおれば、招待でスイートルームに宿泊もする。まあ、一度きりの今世ゆえ、ピンからキリまで体験したい。
そんなわけで某有名ゴルフ専門誌のK山一郎社長(仮名)と実弟で副社長のK山三郎氏(仮名=通称ジュニア)の、いわゆるK山ブラザーズが、茨城県の名門・石岡ゴルフ倶楽部の風光明媚な超難関コースを、急遽、ウイークエンドのラッシュタイムにねじ込んでくださった。
この日は、中国は広州市番禺区の名門・番禺ゴルフ協会から、シングルプレーヤーの丁国平も特別ゲストとしてお招きし、安藤のゴルフデビューとして国際親善マッチという形式となりました。
闘いはすでに前日の8/17日夜から始まりました。
中国でのゴルフビジネスを目論む僕と丁さんは、K山社長のはからいで港区六本木の「golfTEC by GDO」へ。これはGDO(有名雑誌・ゴルフダイジェスト・オンライン事業部)が展開する、スーパーコンピュータを導入したハイテクゴルフレッスン教室。予約の7:30より30分ほど早く到着すると、受付の美女が対応してくれたので、それだけで感動。
アイスティーなどすすりながら、翌日に備え、私は室内の人工芝でパターの練習。10分ほど打ちこんだが、パターだけで100本以上もサンプルがあり、本当に面倒くさいスポーツだな・・・と内心思う。室内で無風状態なのに、なぜか一発で入らない。「これを沈めれば優勝賞金一億円」と心でシュミレートしてプレッシャーをかけ、集中してみるのだが、やはり本番にならないと、余計な力が入ってしまうせいか、上手く行かず、あまり成果なし。
7:30より、丁さんが、器具をつけ、レッスンの開始。ビデオを3次元の角度から撮り、腰や肩の開きや下がり、肘や膝の使い方など、トータルバランスをプロゴルファーのそれと、数字的に比較して、打ち方を矯正するというシステム。この日はタイガー・ウッズと比較して、丁さんのバランスを矯正してくれた。
おかげで、僕はタイガー・ウッズのアイアンの打ち方を、少なくとも、10回はビデオで見ることができた。しかもプロのインストラクターの解説つきだ。ドライバーは1001発ほど打ちこんだが、アイアンとパターの練習の時間までなかった。というか、練習するにも道具がない。
しかし、タイガーのビデオを見たので、あれをマネして打てば良い。丁さんも感動していたが、僕にも収穫があった。これで明日のアイアンはバッチリだ。問題はパターだがプレッシャーをかければなんとかなるだろう。
丁さんは池袋に家族を残しているので、六本木で別れ、僕はここで明日のための栄養補給をすることにする。決戦前夜は肉が良い。以前、ドラゴン斉藤さんに連れて行ってもらった焼肉店へ向かう。とても美味だったので夢よも一度というわけだ。
ところが、焼肉店の店前に置かれていたメニューをササッと見て、僕は歩き出した。とてもじゃないが手を出せる値段じゃない。夢のまた夢だ。すると、はるか遠方に「すき家」の灯りが見える。集中力を高めるには、かえってカウンターの方がいいかも知れない。昔は会社の経費で、この坂をほぼ毎日のように登ったり下ったり、徘徊したものだ。十数年前の夢の跡で、今宵、男ひとり牛丼380円をすする。(つづく)