少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1225 デビュー戦結果4

常磐自動車道石岡ICで下りるころには、プレーヤーたちの緊張が徐々に高まってくる。都心からおよそ一時間ちょっとの道程。一般道に降りると何やら見覚えのある懐かしい風景が・・・。
「もしかして、この道をまっすぐに行けば水戸に着くのかい?」と僕。
「そうですよ、これは国道6号ですから」とジュニア。
「なるほど、水戸街道だ・・・」と僕。
つまり、この道を都心に上れば、学生時代から6年暮らした両国界隈に出る。
実は、骨董屋時代に水戸の骨董祭に出店したことがある。その時に通った道だ。当時はまだ骨董だけで食っていけた。オンボロのワゴン車に荷物を積み、手伝いのアンちゃんと、「給料はいらねえから酒だけ飲ませてくれ」というおっちゃんも荷物の隙間に人間クッションとして乗せて、経費節減のため、一般道をひた走った。
3人分の食事と宿泊、多少の小遣いも経費として必要だから、我々は節約してサウナに泊まり、おっちゃんには約束通り酒を飲ませた。
みんなよう働いてくれて、売上もそこそこだった。ところが、うっかり風俗に行ってしまい、まさにタイプの女性と巡り合い、売上を全部使ってしまったという、そんなゴージャスな想い出もある。
さて、御一行は刻一刻と決戦の場へ。みなの口数が減る。「おい、どうした、皆の衆、元気出せよ」と僕が言うと「安藤さん、ずっとしゃべりっ放しですね。少し静かにしてもらえませんか」と兄山。何やら顔色がよろしくない。
「具合でも悪いのか?」と尋ねると「雲子が漏れそうなんです」と言う。
それは一大事だ。僕はジュニアに車を止めろと助言する。幸運なことに、あたり一面はとうきび畑。天は君に味方した。
「悪いことは言わない。とにかくティッシュ持って、キジを撃ってこい」と僕は兄山の背中を押す。
「いや、もうすぐですから我慢します」と兄山。
「大丈夫、誰にも言わないから、黙って行ってこい。証拠写真も撮らんから」
「たのみますから、笑わさんでください」
「いやいやデモノハレモノところ嫌わずだ。それこそ車内で漏らしたら、オレは飲み屋で一緒に酒を飲むたびに、一生かけて語り継ぐぞ」
「すんません、ちょっと黙っとってもらえますか?いま、精神を統一して違うことを考えていますんで」
「よし、わかった。されど、油断はするな。油断した瞬間が一番ヤバいぞ。気を許した瞬間に肛門も緩むからな」
「心得ておりますが、かなりの勢いで肛門が緩みはじめました」
「そらいかんな〜。原因はなんだ?セブンイレブンの親子丼か?それともプレッシャーか?」
「わかりません。すんませんが、静かに」
「わかった。屁も我慢しろよ。屁だと思った瞬間に実も出た悲劇も、いやというほど見てきたし、オレも経験あるからな」
「ああ、前の車おっせいなあ〜」と兄山社長の額から脂汗が・・・。
兄思いのジュニアが前の車を追い越しにかかろうとハンドルを切った刹那、反対車線から対向車が・・・。
おお・・・っと。美しい兄弟愛が思わぬ悲劇を巻き起こす瞬間とは、このようにして起こるのだろう。車は大きく揺れ、兄の肛門は危機一髪。
「大丈夫、何とか頑張るから、安全運転でゆっくり急いでくれ」と兄山。
「ゆっくり急ぐとはどういう意味ですか」と中国人の丁さん。
急がば回れという意味だよ」と僕。
「いやいやいや、回っちゃいかん。もうそこまで来ている。急いで、急いで・・・」
「誰かコルク持ってないか、コルク・・・」と僕。
「コルク?どうするの?」と丁さん。
「ケツの穴に栓をするんだ」と僕。
「へ〜日本人って面白いねえ。中国人はあまりやらないね、そういうことは」と丁さん。
兄山は気絶寸前、少し漏らしたか・・・?
でも、どうして彼はキジを撃たないのだろうか?サムライとしてのプライドだろうか?僕なら、キジ撃ってスッキリするのだが。
そういえば、明大の同級生のドストエフ岩崎は学生時代、まっ昼間のお茶の水界隈で突然「あっヤベえ。すんません、ちょっとキジ撃ってきます・・・」ってそこらへんの駐車場にひょいっと消えてしまった。
「お前、いくらなんでも人様の駐車場でキジ撃ちはねえだろう。学校まで我慢しろよ」と僕が言うと「だって我慢できなかったんだも〜ん」と涼しい顔で言っていたのを連想した。
ゴルフ倶楽部に着くやいなや、歓待の女性の挨拶も無視して尻を押さえながら、厠へ直行。闘わずしておひとり様脱落。セブンイレブンの親子丼は彼のタンパク源になる前に、茨城の大地に吸収された。(つづく)