阿蘇の山頂で牛を放牧する人がいる
種付けをして 出産した仔牛を売って生業う
売られた仔牛を 僕が買って食する
仔牛はしばらくの期間 お母さんから離れない
乳を吸い お母さんのあとを離れない
別れの朝は突然やってくる
お母さんにはわかるらしいけど 仔牛にはわからない
きょうも飲めるはずの お母さんの乳は もうもらえない
永遠に
お母さんの目には涙がひかる
荷台の仔牛は揺られて市場へ
はじめて見る スポットライトと大勢の人間たち
知り合いは いつものおじちゃんだけ
エサをくれる 優しいおじちゃんだけ・・・
「さあ、いい子だ もっとおいしい ごはんをあげよう」
知らないおじちゃんが僕を連れてく
今夜はお泊りかな お母さんに知らせなくちゃ
優しいおじちゃんは阿蘇の山に戻り
草原が雑木林にならないように 1000年もの古から
野焼きして 僕たちのエサ場を守ってくれた・・・
って お母さんが聞かせてくれた
大雨が降ると 麓の家に泊めてくれたり
土砂が崩れると 落ちないように柵までこしらえてくれた
おじちゃんに恩返ししなくちゃね
僕にできることはなんだろう・・・・