少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

1432 大安凶日3

相性のいい中国で、このようなmesserable day(スペルに自信ない。めちゃくちゃな日)も珍しい。しかも滞在最終日に・・・。
出来ることなら、書きたくない。ブログをはじめて、初めてそう思った悲しい出来事・・・。
この日の飛行機はJAL便で午後3:15のフライト。余裕である。中国南方便だと9:30発。6時には出なくてはならない。前夜の就寝時間は、だいたい2〜3時、しかも大量の酒を帯びている。5時前の起床はジ・ゴ・ク。
梱包の時間を一時間見て、12時に出発すれば余裕。朝食はいつもの、トウモロコシをすり潰した無味の流動食とツナサンド。メニューを選ぶのが面倒くさいので毎日これで通した。食堂から女性が運んできてくれる。
ネットニュースを見ながら、これを食す午前8時。となりで見知らぬおじさんが、やはり、おかゆらしきものをすすっている。
短く、食べても食べなくてもいいような食事を終え、ブログを書く。すると、マスク姿の若いお姉さんがやって来た。「今から点滴ですよ」「えっ!ウソ?聞いてね〜よ」みたいな問答も一蹴され「はい、手を出して」ブスッ。これで1時間半身動き取れず、やや焦る。
まったく想定外の90分のロスタイム。バタバタと梱包。焦る。
会計も僕の前のおばあさんが、やたら長い。この場所は簡単にタクシーがつかまらない。会計を終えた時点ですでに12:40。予定を40分オーバー。そして毎度毎度の大量の荷物。会計係の前にパソコンも荷物も置いて、盗まれるかも知れない・・・というギャンブルに出て、タクシーを探しに行くも、結局見つからず、近辺でタムロしている白タクを呼び荷物を乗せる。「白雲空港まで」。ボッタくり料金と交渉し、230元で交渉成立。本当は200元まで交渉したかったが、時間がない。「とにかく急いでくれ」と運ちゃんを急かした。タクシーに乗り、深く座る。「ああ、なんとかギリ間に合うだろう・・・」と安堵した矢先の出来事だった。
今回のこの訪中、まるで、現在の日中関係を映し出しているようだった。まあ、これを「底」。バイオリズムの底辺だと考えて、きょうから登りの曲線を描こう、そう考えよう。ふと窓の外を見ると真っ黒の仔犬が短い足で、どういうわけだか、一生懸命走っていた。
ぴょこたんぴょこたんと車の流れと並行して走る。かなり小さい子。まだ子供。遠目だが、かなり可愛らしい。男の子かな女の子かな。連れて帰ろうかな・・・なんて思うくらい愛嬌がある。でも危ない。ここは片側4車線の一般道路。そんなとこ走ってはいけないよ。
僕はとても気になった。ちょうど、信号が赤に変わり、白タクが止まった。僕は車を降りて、仔犬を安全な場所に移そうか、どうしようか躊躇した。そして痛い首をよじり、後方を見た。
ぴょこたんぴょこたんと走っている。でも、なんだか、先ほどより、道の中に入ってきた。危ない。一台のタクシーがハザードを付けて停止した。
「ああ、運転手が気付いて停めてくれたんだ」僕はそう思って少し安堵した。と、次の瞬間、タクシーは発進し・・・。
僕の悲鳴に白タクの運ちゃんが驚いた。
「ああ、なんてこった・・・」
見てしまった。もうどうすることもできなかった。
克明に両目に焼き付いているが、ここでの描写は控えておこう。あまりにもむごすぎる。運転手の位置からは見えなかったのかも知れない。仔犬は、停止した車に近づいてしまい、前輪の前に・・・。
あの仔の目の高さから、タクシーの全体像は見えなかったかも知れない。ただくるくる回る黒いタイヤが友達かお母さんに見えたのかも知れない。遊んでもらえるのかと思ったのかも知れない。
きっと誰からも食べ物を与えてもらえない立場の仔だったのだと思う。まだ、誰かから、愛してもらった経験のない仔だったと思う。
同じ生命でも、いつどこで生まれたかによって幸運、不運、という公平ではない運命が宿命としてついてくる。
あの仔は、僕に憑いている悪い何かを獲り、僕の身代わりとして連れて行ってくれたのだと思う。しばらくはショックで目を閉じたまま、車はあの仔からどんどん離れていく。
だから麻梨花ちゃんにお願いしました。「あの黒い仔が、そっちへ行ったらお願いします。可愛がってあげてね。お腹空いていたら、何か食べさせてあげてね」
あと、チャミーとボニーも頼んだよ。一緒に遊んであげるんだよ・・・と。
しょっちゅう、家を留守にする僕は、もう犬を飼うことはできません。でも、もし飼う機会が出来たなら、ペットショップで買うことはないでしょう。
チャミーの時のように保健所の殺処分(なんという酷い言葉)の里親探しの中から選ぶでしょう。あの仔たちは、みな殺されることがわかっています。愛情を求めています。
これが、大安凶日のエピローグです。
同じ日(11/11)、帰国してネットで見つけたニュースをリンクします。こんな幸運に恵まれた仔もいます。何気ない毎日も、幸せだと感じて生きて行こうと思います。


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