2007 安曇野紀行7
今からちょうど33年まえ、安藤総理21歳の時、お世話になった(お世話した)ATI予備校の建物が健在したことを確認できた。
かつて、ここにチャミーと二人で東京からドライブしたことがある。帰京したら、その時の証拠写真をアップしましょう。
ところで、この建物、現在どうなっているのかな?
たまたま、とおりすがったご婦人がいたので尋ねてみた。
(総理大臣を排出したと言われるATI予備校跡地)
ご婦人が言った。「父親に聞いた話ですが、かつてここは大学受験の予備校だったそうですが、現在は、社会人の自己啓発セミナーになっているそうです。時々、研修に来たサラリーマンたちがトレパン姿で四つん這いになって、坂道を後ろ向きに登っていく姿を見かけますが、あれは、いったい何なんでしょうかね。父が言うには30年前も受験生たちが、同じことをやっていたそうです。そういえば、その中から総理大臣が誕生したとかしないとか、そんな噂も聞きました・・・」
「なるほど、お嬢さん(本当は立派なおばさんだが)、いい話を聞かせてくださいました。四つん這いの逆さ登山はヨガのトレーニングです。あれは、めっさ、きつかった・・・あっ、いやいや、きついそうです。それと、総理大臣が誕生したといううウワサですが、それは事実・・・みたいです」
「え〜そうなんですか。じゃあ、さっそく父に報告しなければ・・・」
「そんなことより、お嬢さん(本当は、見事なおばさんですが)、これからボクといっしょに蕎麦しない?」
「蕎麦・・・ですか? もしかして車屋さん・・・?」
「もち・・・ここへきて、車屋へ寄らずに帰れっかいな」
「んだ。じゃあ、付き合うずら。あんたの車でいくずらか?ほんだら、また、ここまで送ってきてくれるだべか? だったらええずら・・・」
というわけで、おばちゃんを蕎麦ナンパ。
(この鳥居の向こうに「蕎麦どころ車屋」がある。大きな水車が目印)
穂高中腹にある有明神社横の車屋さんの蕎麦はかつて食べた時より完全に進化している。マスコミに取り上げられ、今や観光名所。そのボリュームも満点の蕎麦。マイウ〜の石ちゃんの絶叫は本物よ。
さて、蕎麦を食し、約束通り、お嬢さん(本当は、どこから見てもおばさんだけど、とても可愛らしい)を送り届ける。
「どころで、アンダ、家にへえって、お茶の一杯でも、飲んでかんかね」
おっ、逆ナンされた。
「いいだか?」と総理は答え、のこのこと。
聞けば、彼女、独身のひとり暮らし。離婚して、父親の別荘で暮らしている53歳。
「ひとりで暮らして、寂しくないだか?」
「ああ、寂しくねえ。おら、ひとりっきりが気楽でええだ。いま、リンゴ剥くから、待っててけろ」
「わるいね・・・」
「気にすんな、もらいもんずらに・・・」
よもや彼女、招待した男が総理大臣とは気付くまい・・・。
(敷地500坪はあろうかという、女性の別荘から見下ろす林。この先は沢になっている。彼女の敷地は猿の通り道として有名だそうだ。時々、猿から進化した二本足が敷地に迷い込んでくるそうだ)
「独り暮らし・・・大変ずら?」総理が問いかける。
「慣れっこだっぺ。ただ冬はマジ寒か・・・。灯油代もバカになんねえし」
「なにか、困ったことはないかね・・・?」
「あるだ!」
やっぱここはひと肌脱ぐしかないか?乗りかかった船、毒を喰らわば皿まで。
「おでに出来ることなら、言ってけろ」
「猿だ・・・」
「ん、猿がどうしただ・・・?」
「猿のやつらが、コンセントさひっこ抜くずらよ・・・」
「猿・・・? コンセント・・・?」
(つづく)