少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

2008 安曇野紀行8

お茶を一杯だけ馳走になるはずだった親切なご婦人の別荘。ゆきずりの素浪人は長野名物のリンゴをむかれ、身の上話に乗る・・・。
聞けば彼女、夜勤の仕事を8年間も・・・。コンビニの弁当を、深夜、工場でつくっているという。
昼夜逆転の生活は、若い時ならいざしらず、この年になったら上郷のトヨジのように、動物と同じような生活をしなければ・・・」という素浪人の無責任なアドバイス
「そうなんですけど、この年になると、こんな仕事しかないんです。昼間の仕事も探したけど、どこも採用なんかしてくれないわ。辛くて辞めた仲間もいますけど、みんな次の仕事が見つからなくて、後悔しているの」
「そうでしたか・・・私に力がないばかりに、穂高の方々にまでご迷惑をおかけして・・・すまん」


「なにか困ったことはないかね・・・」
「実は工場に虫が・・・」
「虫?」
「はい」
「カブト虫?」
「はい、カブトやクワガタの類ならいいんですけど、ゴマのような小さな虫が・・・」
「どうされた?」
「換気扇の隙間から侵入してきたり、あるいは食材の白菜に紛れて潜入してくるんです」
「セキュリティーが甘いのか?」
「はい、万全を期しているのですが、虫どころの長野ですから、どうしても厳重な警備をかいくぐって・・・」
「敵も必死、喰うか喰われるからだからな・・・」
「そうなんです。白菜を喰っても、結局、自身が喰われるんですけど」
「問題は、誰に食われるか・・・だな」
「んだ・・・。クレーマーさんに当たったら大変ずら・・・」
「どうなるずら?」
「夜中だろうが、早朝だろうが、工場長さん呼びつけられて、そら、もう可愛そうで、可愛そうで、見てられねえだ・・・」
「そうずらか?」
「ずら」
「どのくらいの割合でへ〜ってるだか?」
「だば、1万個の弁当に、二、三匹だべか・・・?」
「んだら、よっぽど、当たる確率低いずら」
「んだ。ところが、どういうわけか、よくクレーマーさんに当たるずら」
「どうにかならんかね」
「それが、どうにもならんずらよ・・・」
「うちの母親なんか、喜んでイナゴとか食べるだよ」
「あんた、いいこと言うだな。今度、工場長さんに言っておく、クレーマー来たら、イナゴ喰うくせにはんかくせえこと言うなって言ってやれ・・・って」
「ずら」


「ところで猿の話はどうなった?」
「あんれ、わすれちまったずら」
(つづく)