2094 横浜医療収容所5(誕生オーラ)
24時間、そんな環境にいれば、知らず知らずのうちに心身にダメージを受ける。普通の人には見えぬものもすでに見て、自分では手の届かぬ背中に4本の女性の爪痕もつけられた。はじめてのことではないので、特には驚きも恐怖もない。
先日、生まれたてほやほやの赤ちゃんを見て感動した。それ以来、産婦人科の前をうろつく怪しいおっさんになったのだが、新生児を見れる部屋を見つけ、日に一度は入りびたり、誕生した汚れなき命にエネルギーをいただいている。
これがなければ257室の負のオーラに徹底的にやられてしまう。ステキな場所を見つけたものです。
話は少し飛びますが、以前こんなことがありました。
今からおよそ、16年前の夏、そう8月26日のことです。
場所は東京の清瀬市にある産院でのこと。
Sさんという女性が女児を出産しました。じつはその産院、かつてSさん自身が生まれた場所でもありました。Sさんは大部屋にいたのですが、なんと、ん十年前の当時、Sさんと同じ日にオギャーと生まれた女性が同室にいたのです。
Sさんと、その女性は、赤ちゃんの時以来の対面で「あら、お久しぶり」というわけにはいかず、その関係に気が付いたのは、見舞いに来ていたSさんのお母さんでした。
「もしかして、あなた○○さん?」とSさんのお母さんの問いかけに、同室女性の母親は「はい、そうですけど、あなたはどちらさま?」という会話から始まり、
「ほら、あたしよあたし」「え〜まさか、あの時のあなた?」「そうあんときのイノキじゃなくて、あんときのアタシよ〜」二人は盛り上がりました。
Sさんの母親と、同室女性の母親は、その昔、同じこの産院の同室で、しかも同じ日に女児を出産したのです。つまり、Sさんと同室女性は双子の姉妹・・・ではなく、ただの赤の他人だったのです。
母娘が、長い年月の末、同じ産院で、同室で、同じ日に、それぞれが女児を産むなんて、なんだか神秘めいていませんか?Sさんと同室女性は同じ誕生日。そしてその娘同士も同じ誕生日。
私はSさんに「これは何かの縁だ、すごいですね」と言いましたが、Sさんは「単なる偶然よ」と全く意に介さず、その後も女性とは連絡を取り合っていません。
長い年月を経て、Sさんは「ショッカー」様に変身し、女児は「仮面ライダー1号」に成長されました。めでたしめでたし。
ショッカーと仮面ライダー軍団は、まだ地球征服を果たしていないが、笹塚の安藤総理官邸の征服は、ほぼ完了した。