少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

2508 5月9日のSTAY

5/9-16 FB投稿

 

おはようございます。

今日は特別な日なので、朝から青春ロマンス物語2を書きます。(お暇な方限定でね)

なぜ、僕のことを、そこまで気に入ってくれたのか、実は今でもよくわかりません。10歳年下、知り合ったころ、彼女はまだ女子大生でした。
山形県庄内地方の名家のお嬢さん。僕は東京中日を辞めて、フリーランスで稼ぎまくってた時代。新宿御苑の隣、内藤新宿の一軒家を借りて、ベンベーに乗って、ブイブイの時期。隣にはニューズウイークの東京支社長が住んでいて、日本人の奥様が彼女の地元と同じ庄内のご出身で、彼女の実家をよく知っていて、ニューズウイークでも取材されたそうです。という話を、後日、聞かされました。
と、言うのも、彼女、とても質素で、ブランド品のひとつも身につけておらず、大人しい性格で、目立たないタイプ。普通の田舎の女の子という感じでした。
でも雪国の子の特徴でしょうか、芯は強く、やると決めたことは極めるタイプ。クラシックバレエのためにアルバイトして、自費で英国のバレエ専門学校に1年間通いました。そのころ、僕は日刊ゲンダイに再就職していたので、一週間の夏休みをロンドンに充て、彼女の学生寮で暮らしました。

彼女の帰国後も交際は続きました。新聞記者の僕の仕事は、時間が超不規則で、人と約束ができません。デートには9割の確率で遅れるのですが、彼女が怒ったことは一度もありません。携帯もない時代、待ち合わせ場所で、彼女はずっと読書しながら、僕を待つのです。最長で4時間、待たせたこともあります。お酒も飲めない子なので、ジュース1杯で待たせた、それでも笑顔で迎えてくれました。

喧嘩したことは一度もなかったですけど、すねられたことはよくあります。忙しいすぎて会う時間がなかったからです。
OLしながら、下北のスクールでレッスンしたり、子供たちに教えた帰りに、彼女は必ず、私の千歳船橋の部屋に寄りました。毎回、毎回、泊まるように勧めるのですが、彼女は姉と暮らしていて、外泊は厳禁の身。深夜、彼女の三鷹のマンションまで、車を走らせます。往復で1時間半。まだ、僕も若かったからできたけど、疲れ果てた日はキツかった。

「なんで俺なんかがいいの?」
彼女に尋ねたことがあります。
「悪い人と戦うから・・・私の田舎に安藤さんみたいな人、いない」と言われました。う〜ん。
車を運転中、甲州街道で車線変更した時に、車線変更した行為に感動されたことには、ちょっと引きました。微妙な関係は微妙に続きました。

彼女から、リクエストされたので結婚することにしました。特に断る理由はなかったのですが、この子と一生やっていけるという自信もまったくなく、不安は大きかったです。とにかく純真そのものな性格なので、私の乱痴気な本性に、どちらともなく挫折しそうで、途方もない心細さがありました。

綺麗な子でした。丸の内の上場企業に勤めていたので、縁談も複数来たそうですが、すべて断ったそうです。理由は恥ずかしくて書けませんが、要は、私を待っていてくれたとのことでした。そして、私も覚悟を決め、彼女のご両親にお会いするために、庄内のご実家を訪ねました。

あらかじめ、彼女から複数の雑誌に掲載されたご実家の写真を見せられ、驚きました。特にアサヒグラフの特集は、杜氏さんと、たまたま帰省中だった彼女の笑顔が、とても印象的でした。写真で、あらかじめイメージしていたにもかかわらず、実際の彼女の実家は、マジか〜という感じで、これ、個人のお宅ですか? というのが第一印象でした。

雑誌の写真はほんの一部で、築300年以上の造り酒屋。いわゆる蔵元。敷地内には、本当の蔵があり、先祖代々の家宝が収められている。ニューズウイークの奥様が言われた通りの正真正銘。ここで、数日間を彼女とご両親と過ごし、乱痴気を完全に封じ、品行方正を装ったのですが、本当にこんなんでいいのか? という疑問が燻りはじめたのです。

結局、庄内のご実家には2度伺いました。彼女の小学校、羽黒山、海岸、お酒の源泉、彼女が本当に嬉しそうに案内してくれました。でも、私の心が、彼女ほど晴れていなかったことを記憶しています。なぜだろう?
彼女からの要望で「ちゃんと、お父さんに話して」ということになり、お父さんが出張で来ていた横浜で「お嬢さんと結婚を」と切り出しました。
「まあ、希望はわかりましたけど、まだ若いから、よ〜く考えなさい」とか、そんな風に言われました。彼女いわく「OKの合図」だそうですが、結論から言うと、僕たちは結ばれることはありませんでした。

すべて、僕が悪いのですが、彼女とはお別れしました。
彼女には、これっぽっちの非もありません。

彼女が亡くなったこと、知ったのは7、8年前のこと。それも、彼女の死後、5、6年経ってからでした。
今日、5月9日は、彼女の命日です。
コブクロのSTAY。今日は個人的に、彼女のためだけに贈らせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。