少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

2940 安藤投手トライアウト2

12/30-16

安藤選手、トライアウト自慢話2。
おヒマな方のみ限定です。長いし、皆さんにプラスな情報ではありません。安藤の自己満です。でも、野球に興味のある方には読んでいただきたいです。すみません。

で、打者との対決。1年間の授業料がかかってるので、それは力の入る真剣勝負。年齢関係ない、将来のメジャーリーガー相手。
徳永コーチの作戦通り、タイミングを外す投法だが、もともとストレートにスピードがない。だから変化球との球速差も大してない。てか、遅すぎてタイミングが合わないだけで、投げてて恥ずかしくなる。肩より肘が痛い。投げ方が悪いからだろう。3度目の投球テストの時は、キャッチャーからの返球の方が遥かに速い。投手枠は断念、頼み込んで野手に変更。

では、どこを守る。外野は経験ある。捕るのは自信ある。でも捕ってからどうするよ。肘痛くて投げれない。外野手失格。
一塁三塁。メジャーリーガーの打球についていけるかな?てかコエ〜し。ショート、守備範囲、絶対ムリ。セカンドの人に悪いけど、消去法でここしかない。やったことないけど、ダメ元じゃんで、セカンドにチャレンジ。

ノックもそんなに厳しくないので、なんとか無難に可もなく不可もなく。ただし、中継プレーは褒められた。的確なポジショニングと、捕球から送球の速さと正確さ。まあ、日本の球児としてはごくごく平均かそれ以下の出来。つまり、このチーム、そんなにレベルが高くない。

初日の200人はセレモニーのようなもので、100人からは、一度のテストで10人ずつ削られ、毎日の発表にドキドキ。実力が均衡する60人くらいから、こちらの体力も格段に落ち、今日はダメだろうと思いながらも、なんとか残る。

で、奇跡的に残り30人までに残った。
最終選考は5人が落ちる。すでにトップ20人は誰の目から見ても確定メンバー。残り5席を10人で争う。これだけ毎日見てれば、自分の順位はわかる。ビリではないけど、28番か29番、25人のメンバーはまずムリだろう。思い出作りには最適だけどね。

だから先手を打った。
「選手じゃなくてもいい。マネージャーでいいから、ベンチに入れてくれ。授業料も払うし」
みんなに大笑いされた。
理由は後でわかった。
マネージャーって監督のことだってさ、知らねえやそんなこと。

トライアウト最終日は実戦形式紅白戦。全員出てるけど、監督志望の日本人には出番が来ない。やっぱりな、と思っていたから大きなショックはないけど。

そしたらホンモノのマネージャーが言った。
「おいチミ、最後のチャンスやる。打ってこい」
代打で出場。

腐りながらも、そこは日本仕込みの球児、本当は諦めていない。紅白戦7回(最終回)裏、スコアは忘れたけど1点ビハインド、二死二三塁。一打逆転サヨナラの場面。すでに合格が決まってる連中からピーピーヤジだか激励だかわからん奇声が飛ぶ。

マウンドには身長188くらいの左のノッポ、球速いし、スライダー切れてる。スライダーはまずムリ、追い込まれたら打てない。性格悪そうな奴だけど、結局こいつが、その後チームのエースになる。

あの時点での自分の力のでは、ノッポのストレートとスライダーを見極めることは不可能。もう、ストレートと信じて、初球からフルスイングしかない。と、決めて打席に立った。

初球、左投手のインローストレート。右打者の膝に対角に食い込む速球。決めていたので、バットを振った。
よく解説者が言うけど、振り切ったからファウルにならなかったのでしょうね。ゴロで三塁ベースの真上を通過。

自分の感覚では真芯ではなく根っこで詰まった感触。上手い三塁手だったら捕られてたかもしれない程度の当たり。三塁手が飛び込んだので、捕られたと思い全力疾走、しかし、打球は外野に転々、逆転サヨナラで、両軍ベンチは大喝采、意外と人気者。

しかし、こっちは28番か29番目の受験者、走力と、ベーランテクニックも見せつけておかないと。二塁も全力で周り、当然、ホームベースを全力で駆け抜ける算段。
しかし、しかし、ついにでました1年半のブランク選手。三塁を勢いよく回ったところで、足がもつれ、力尽き、そのまま三本間でよれよれのヘッドスライディング。万事休す。もうアカンと覚悟を決めました。

ところがですね、これが信じられないくらいウケてしまったのですよ。
キャッチャーの返球より遅い球のくせに投手志願とか、監督やらせろとか、アタマのオカシいサルくらいにしか、多分思われていなかったと思いますが、最後はゴリラみたいなあのキャッチャーが握手を求めてきてくれました。

で、結果はまさかの合格。
「25番目の選手。運のイイ奴もチームには必要だから」と言われて仲間に入れてもらいました。

当時、日本人メジャーリーガーはマッシー村上さんしかいない。野茂もイチローもいなかったので、正式には、私が日本人2人目もメジャーリーガーになっていたかもしれません、という自慢話でした。

長くてすみません、おしまいです。