少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

5642 一杯のお粥と二本の水 その2

2/17/21

『一杯のお粥と二本の水』その2

冷雨の日曜日夜。桜上水から永福を抜け、タクシードライバーは気を利かせ、この苦しむ警備隊員を宗教病院に運ぼうと、裏道を選んだ。自分の知らない都会の獣道。昭和の木造家屋が点在する。いまだに、狸や狐が葉っぱを持って角の酒屋に買い物に来そうなレトロ街道。
「運転さん、あり、がと」警備隊は声を絞った。
が、ドライバーの好意は裏目に出た。都内特有の一通(一方通行)地獄。ドライバーの機転でより早く環七に出たものの、中央分離帯に阻まれ、宗教病院を目前にして到達に至らず。元気があればなんでもできる、元気があれば、ここで降りる。しかし警備隊員、もう一歩も動けず。

ここから地獄の地獄巡り。一通地獄をグールグル。ドライバー焦れば焦るほどグールグル。こっちのアタマと内臓グールグル。
「お客さんすいません、ここでいいすか?」
「いや、無理、入口までお願いします」
「へい、がってんしやした」
で、再びグールグル。
は、吐いてやる。

ようやく着いた。
「お客さん、すいやせんでした」
なんの、なんの、好意の結果、悪意無き善行に文句はないよ、辛いけど。
ドライバーさん、料金から500円引いてくれた良識人、争わず。

院内の様子は別項に譲るとして、到着時は39度の熱、車椅子で地下検査室へ。熱があるのに悪寒。意識朦朧。いろいろやられて、あっち行け、こっち来い。「オシッコ漏れそうです」「ちょっと待って」「あっ」漏れた。

つづく

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