5890 家宝を拾う
4/12/15
鳥肌が立ちました。素敵なモノを拾いました。
火曜日のことです。そぼ降る雨の神保町。いもやへ行く途中の暗い路地。「汚いからやめときな」という同伴者の制止を振り切り「まるで吸い込まれるように拾いに行ったね」(同伴者の印象)の声の通り、私はビニル紐で括られた古本の一団を拾いました。隣では本物のホームレスが、私と並んで空き缶を漁っていました。同伴者に言わせれば、私と乞食が同化して見えたそうです。
拾ってから数日間放置して、先ほど確認して驚きました。我が家と関わりのある書物でした。数年前、我が家の家系を知る骨董屋さんが「安藤さんの祖先の地図が出た」と明治時代の古地図を持って来ました。それなりの金額で買わせていただきましたが、今回はより重要な資料本です。
我が家以外の方には無価値のものですが、我が家にとっては正に値千金のもの。あの時間、あの場所を通り、そして私の視界に入り、拾うことに抵抗を感じない性格という幾多の要素が重ならない限り、この書物は間違いなく、この世から消滅していました。
たとえ、タイトルが判明していたとしても、探すことは海に落とした針のごとしでしょう。運命というか、宇宙の法則を切に感じました。
写真は順に、拾った本、骨董商から買った地図、拾った本全部、早稲田大学と陸軍大学で仏語の教授だった曽祖父。