6080 少年の還らぬ夢
5/5/21
少年には夢があった。
地球上に、たったひとつしかない、夢があった。
しかし、すべてが、過去形になってしまった。
本人の意志も、家族や仲間の愛も、神の保護も、すべての道理も超えて、一瞬にして、過去形になってしまった。
彼は自分の千切れた姿を交差点の上空から、あるいは搬送先の集中治療室の天井から、どんな思いで見ていたのだろうか。
社長になってカマロに乗り、広いから一軒家に住み、偉そうにして自慢話ばかりする人の下では働きたくないから、同じ目線で働き、信頼される社長さんを目指す。そんな新中学3年生。素晴らしくないですか?
何を嘆いても時は戻せない。
少年と、少年の夢は帰ってこない。
怒りも、憤りも、悲しみも、第三者の声や思いは誰にも届かない。
今日も、無法運転ウーバー、歩きスマホ、路上飲み、川辺バーベキュー、シルバーシートふんぞりスマホゲーム人間、そこら辺にいる愚か者どもを、適当にスルーして生きるしかない。
右腕を肘より上にあげるのも痛くなってきた。
嗚呼、めんどくさいけど、痛みを感じる幸せもある。
少年の夢は・・・
少数派日記21