6086 死の棘日記
5/6/20
「7日間ブックカバー、読者文化の普及に貢献する為のチャレンジ」
金沢靖さんからバトンを預かりました。勝手に9日目です。
漫画を含めれば蔵書5000冊の読書家です。
戦記&ラグビー〜山岳-野球-文学-宇宙思想(哲学)-ナチスのホロコースト、移植医療、戦時中の人体実験事件の次は昭和の私小説「愛と狂気」がテーマです。
いわゆる「特攻崩れ」と言っても上級指揮官・島尾敏雄の私小説。奄美の孤島にて出撃命令を8/13に受け、出撃命令なきままに終戦。死を美として捉えるしか、自身の生存価値を見出だせなかった者たちにとって生き残ることにある種の罪悪を覚えることに理解は容易である。
戦後、普通人として生きる中に、人間の欲望として愛欲があるのも世の常で、それは古今東西、人間の弱みであるとともに、同時に、人間らしさの極みであると思う。
だがそこに、生き苦しみ、果てに精神をも狂わす、いわゆる愛憎の終着駅が待っていた。不倫理的な欲望が家族を崩壊へと導く恐ろしい私小説は、我々の日常とも背合わせを感じる。本編『死の刺』は安城の実家。付随して後に購入した『死の刺日記』そして、一方の当事者である島尾ミホによる『海辺の生と死』は文学小説なのか、あるいは狂気から覚めつつある穏やかなる報復なのか?小岩での狂気とは違う人格が宿る寒ささえ感じさせる。
小栗康平監督の同タイトル作品『死の刺』は、当時の小岩界隈の日常が映像で飛び込んで来る故に、実感に迫る。総武線に身を投げるミホを必死で止めようと土手転がる夫婦のシーンは、もはや現代の映画では不可能だろう。俳優のプロダクションがNGだ。
主演・松坂慶子と岸部一徳の静かで迫力ある演技は、画面を超えて心の蔵を貫いてくる。
(1990年 カンヌ国際映画祭グランプリ作品)
ルール
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#7日間ブックカバーチャレンジ
少数派日記21