2999 驕れるバレンタイン
2/14-17
余談3。お暇な人限定です。
皆さん、昨日は聖バレンタインデーでしたね、成果のほどはいかがでしたか?
私は学生時代の2年間をシカゴで過ごしましたが、当時、盆と暮れに日本領事館が主催して、高校の体育館で映画「寅さん」を無料上映してくれるのです。糸電話しかなかった時代ですから、スクリーンを通じて日本語に触れる数少ない機会で、とても楽しみにしておりました。
ところが、その学校、実は大量殺人事件が起きた現場だと、後で聞き、ゾッとしました。シカゴでは有名で、アル・カポーン(アル・カポネ)による聖バレンタインの大虐殺と言うのです。
ケビン・コスナーの映画「アンタッチャブル」を観た方なら分かると思うのですが、組織の裏切り者が一斉に機関銃で殺されるのです。大量と言っても、その場で射殺されたのは7〜8人だそうです。
で、ご存知のように、アル・カポネは殺人罪では証拠がなく起訴されず、立件されたのは脱税法違反の罪でした。余談の中のさらに余談ですが、その後、カポネはサンフランシスコ湾にある孤島アルカトラズ刑務所に幽閉され、そこで獄中死するのですが、そのストーリーが、たまたま入試の長文読解に出て、事前にその話を知っていた私は、ほぼ満点取れたようで、幸運にも入試に合格させていただきました。ですから、聖バレンタインの日はいろんな思いが交錯するのです。
さて、本題はこれからです。
私のチョコ好きは異常です。
どれくらい異常か。地球最後の日、あるいは人生最期の日、よく、何を食べたいということが話題になりますが、私の場合は間髪を入れずチョコレートです。2位も3位もありません。
自身の葬式では菊の代わりにガーナを、ユリの代わりにアポロを、バラの代わりにバッカスを、鼻の穴には綿ではなくマーブルを。とにかくチョコレートに埋もれて窒息死したいのです。実際に知人の葬式に参列したとき、代々幡斎場の職員に尋ねました。「花の代わりにチョコ入れて焼いていただきたいんですけど〜」
「はい、チョコレートを柩の中に入れる場合は、おひとり様1枚でお願いしております。かなりアマ〜い匂いが出ますので、次、焼く方にも匂いがついてしまいますから、ご了承ください」だと。
チェ、夢のない職員。でも、調べたら本当らしい。匂いが出るもんはダメだってさ、ちなみにタバコも一人一箱まで。あの世に行ってまで吸いたいもんですかね。私は何処へ行ってもチョコ食べたいですけど。
私はコアなコレクターですけど、そのきっかけになったのは幼い頃からチョコの包み紙を集めたあたりからです。当時、まだ、ギブミーチョコレートの時代ですからね、そらもう貴重な品でブルジョアの証し。どんなに大切に食べてもチョコはアッと言う間に消える。
そこで、包み紙も愛おしく、捨てらずに、ずっと保管しておいたのです。すると、何枚か集まると、チョコの残り香がモワ〜と来ることを知りました。いつしか、箱に集めると、開けた瞬間に、モワ〜。一晩寝かせてはモワ〜。もう癖になり、学校から帰ると、まず、モワ〜を嗅ぐのが帰宅ルーティーンになりました。
余談ですが、私は犬の肉球の中の匂いを嗅ぐのが好きです。まだピンクの赤ちゃんの肉球はたまりません。
姉とは比較的仲良かったのですが、兄弟喧嘩の原因は、私が姉の分のチョコにまで手をつけてしまうからです。ほかのオヤツには手をつけません。しかし、チョコだけは理性が働きません。どこへ隠しても執念で見つけ出します。ですから、実は、偉そうに清原のことを批判できる立場にないのです。
さて、もう一度、本題に戻ります。学生時代、私は比較的、女子にモテた方ですので、バレンタインデーに2人の女子から2個のチョコをいただいた経験があります。で、過去最高は3個です。ただし、これは仲良かった頃の女房と、まだ一緒にお風呂に入るのが楽しみだった2人の娘さんからでした。ゆえに、身内の組織票のようなもの。おそらく最初で最後のハットトリック、一試合3ホーマーと言ったところでしょうか。
その自己最多記録を更新するチャンスが昨日、訪れたのです。まず13日夜、仕事仲間の女性からビジネスチョコ一個。その女性が紹介してくれた初対面の女性から、想定外の挨拶チョコ一個。そして昨日、友人の彼女からフレンドチョコ。この3個はまったくの出会いガシラの一発、まったくの想定外、無欲の勝利。ノムさん流に言えば「勝ちに不思議の勝ちアリ。負けに不思議の負けナシ」うんうん分かる分かる。
で、安藤、何を思ったか? ズバリ自己最多記録の更新。新記録の4個。
実は以前から「14日にチョコあげる。何がいい?」という奇特な女性がいて、「好きなチョコ買ってあげる。リクエストして」と言われたので悩みました。
で、カノジョでもないし「じゃあガーナでお願いします」と返答したら「や〜だ〜もっとちゃんとしたチョコにしなよ〜」というので、でも「じゃあ、ゴデイバ」と口まで出かかって、いや待てよ「タダより安いものはない」というから、後が怖い。美人局の可能性もある。「じゃあ、リンツの薄いヤツ」と返答。これなら1200円だし、最悪、弁償すれば済む。
そしたらカノジョ「うんわかった。じゃあ14日にあげるね」というので、今シーズン唯一の確定的チョコレート。
で、昨夜、新宿で一緒に食事しました。その後、「スタバでお茶しよ」と誘われ、ああ、そこで渡すつもりだなと当方勝手に思い込む。リンツは子供のころ、まだ日本に舶来のチョコはハーシーしかなかった時代、海外出張の親父が土産に買ってきてくれた逸品。あの薄さ、上質な味に、子供心にドギモを抜かれた衝撃チョコ。舌に乗せて溶ける喜びを味わうもヨシ、三枚重ねて触覚を堪能するもヨシ、子供時代の夢は、大人になったら、リンツのチョコだけでドールハウスをつくりたい。
というわけで、内心、かなり期待していたわけです。
ところが、ぜんぜんくれる気配がない。下品で飢えたチョコ乞食に思われるかとも思いましたが、背に腹は代えられぬ、こちとら、それが目的で来た。そして思い切った。
「あの〜リンツは?」
「ああ、一応買いに行ったらさあ、すっごい人で。だから今日は諦めた。また今度でいいでしょ!」
「あっ、はあい・・・」
子供だったら泣いてたかも。かなりヒザのチカラが抜けました。汽車なら130円で帰宅できる距離。滅多にないのですが、とても疲れたのでタクシーで帰宅。結局、自己最多タイの3個どまり。マスコミの期待を裏切る結果となりましたが、こんな私にチョコを下さった3名の女性に大感謝です。大切に食させていただきます。