少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

319  意気消沈

意気が消沈しています、がっつりと・・・。
あ〜どうしてこんな時にオレ・・・、落ち込む。
今日は朝から点滴5本。中秋の名月の休日でまともな医者はみんな休暇で居るのは「実習生」のバッジをつけたハナタレだけ。ろくに治療もせず点滴攻撃かい。まっここは中国、観念するしかない。
日本の医師二人に国際電話入れるも「そちらのドクターに従うしかない」と、そらそうですね。
いろんな不安が過ぎって、冷や汗で背中がべっちょり。かつて自分が勤務した病院だが、当時の知り合いはもう数人しか残って居ない。生き残っていたナ―ス・恵那(クェィナ)に電話を入れた。「きょうは休暇で外出中だから、明日出勤前に行くわ。部屋番号は?」。彼女はこの病院で一番の美貌、だからこのグループの総帥のお気に入りで総帥一族が病気になると専属の看護師となり、VIPルームの主任である。ちなみに私は一般病棟だけど・・・。
朝食のサンドイッチも食べる気せず。
横で寝ていた拾得さんが、一旦、僕の部屋に戻り、着替え、常備薬、携帯の充電器など必要なものを取りに行ってくれる。洗濯までしてくれて4時間後帰院。「冷蔵庫のワインとビールいただきました・・・」と。酒好きだ。
その間にこの病院で仕事をはじめたころからの付き合いがあるロバート夫妻が見舞いに来てくれた。彼は総帥のナンバー2的な存在だが、現在はこのグループの高校の運営と外国人教師のまとめ役を担っている。会話は英語なので、意思はほぼ通じる。ロバートにはプライベートなお願いをして引き受けてもらった。
その後、この病院の元ナースで、一番長く一緒に仕事をした秀明(シュウミン)に電話を入れ、状況を説明する。「不安なのでシュウミンの友達のナースを寄越してくれ」などと、泣きを入れてみる。
ここに入院したことのある現役の日本人医師の先生が「シュウミン以外にワシは浣腸させん」と名言を残したほど、彼女は優しい。その先生はシュウミンを養女にして日本に連れて帰りたいと言っていた。今は2児の母だ。
僕はいつもシュウミンに何か土産を買っていく。何がいい?と聞くとマヨネーズだとか白い恋人がいいとか、そんな程度だが。前回の訪中の時、珍しくシュウミンから「ベビーバス」が欲しい、とリクエストがあった。「もちろんいいよ。で、色は何色がいい?女の赤ちゃんだからピンクがいいよね?」僕がそう言うと彼女は「えっ色って・・・?あなたにまかせるわ」。電話での英語でのやりとりだった。
僕はネットでキティちゃんのベビーバスを買った。4000円。シュウミンにしては過去最高値の要求だったが出産祝いだし問題ない。ただ運ぶのにかさばった。
シュウミンに会って大きな段ボールに入ったベビーバスを渡す。シュウミンは一瞬キョトンとして「え、これ何ですか?」と聞く。「だからさ、ベビーバスだけど、これでいいかい」と中身を見せる。シュウミンは「えっ、あああ、ありがとうございます」と若干の違和感を感じさせながらも英語だったか日本語だったか中国語だったか嬉しそうに受け取った。
ところが、その日の会食後、シュウミンが申し訳なさそうに僕に言った。「安藤サン、きょうはこんなに大きな荷物持ってきてくれて本当にありがとう。でも私がお願いしたのは、以前、あなたが持ってきてくれた赤ちゃんのパウダーみたいなやつなの。だから何色?って聞かれたとき、意味がわからなくて・・・」
う〜む。それは私としたことが・・・。確かそれは「ベビーパウダー」という代物だが、シュウミンの言う通り、私が買ったジョンソン&ジョンソンのベビーパウダーのフタには英語で「ベビーバス」と表記してある。二人で大笑いしてしまったが「ベビーバスはとても便利で使い心地がいいわ」と後日電話が来た。今度は間違いなくベビーパウダーを持参しましたぞい。(つづく)