少数派日記

社会派エロブログ、少数派日記です。

“安藤総理の少数派日記”

882 117阪神淡路大震災5

最後にこの男を紹介したい。セニョール吉田。国籍・JAPAN。
元・光文社「FLASH」記者。正義感強烈な熱血漢。
「こういう時こそ何かをしなければならない・・・」と彼はずっと言い続けていた。「震災で傷ついた子供たちに何かできることはないか?子供たちが喜んでくれることはないか?笑顔を取り戻してあげたい」セニョール吉田は震災から一年間、ずっと、会うたびに、そんなことを僕に言っていた。
そして、「スポーツイベントをやりましょう。僕らはスポーツ記者だから、プロの選手たちに働きかけて、子供たちと一緒にスポーツを楽しんでもらいましょう・・・」と彼は企画を立てた。
「素晴らしいアイデアだ。俺も協力するよ。でも、どうやって・・?」
企画も構想も素晴らしいが、そんなの一介のスポーツ記者にできるわけがない。口には出せなかったが、僕は内心、ずっとそう思っていた。
ましてや日刊ゲンダイに写真週刊誌の記者。どちらかと言えば選手からは嫌われている部類だ。親しい選手も何人かはいるが、総体的に無理があるだろう。しかし、セニョール吉田はたった一人から始めた企画をカタチにした。
翌年のオフシーズン、神戸の児童約5000人、プロ野球現役&OB、Jリーガー、プロゴルファーら約200人。古田も松井もカズもラモスも超大物選手が集まってくれたのだ。しかも全員ノーギャラどころか交通費も宿泊費も自腹が原則だ。児童たちには弁当とジュース、お菓子と記念品もすべて企業から5000人分を無償でかき集めて来た。グラウンドも神戸市から無償で借り、子供たちは丸一日を選手たちとゲームやサッカー、キャッチボールで過ごすことができた。
彼は今、中畑清DNAベイスターズが会長を務める「プロ野球昭和28年会」の事務局長をやっているが、今回の東北大震災でも、子供たちへの野球道具支援のため一年間奔走した。
本日のmikutyan日記では、やはり阪神淡路大震災について書かれている。大浦郁代さんは神戸大学の出身で卒業された翌年、地元の金沢にいて、震災を知り、リュックに日常品を詰め、被災地に届けに行かれたそうだ。おそらくこのブログはKKちゃんも読んでくれると思うが、同じ学校なんだね。それにお母様は天童荒太のファンだそうだ。本当によく繋がるね。
昭和40年代の東京・青山にまだ物乞いがいた。年下の従姉妹の女の子とそれを見た。そして小学生の彼女が小学生の僕にこう言った。
「ああいうおじちゃんにお金をあげちゃあいけないんだよね」
「どうして?」
「だって自分が悪いからしょうがないんだってママが言ってたもん」
「それはどうかな?誰が悪いかなんてわからないよ。でもね、自分がもし、あんなふうになって、誰も助けてくれなかったら悲しいだろ。だから、お金をあげてもいいんだよ」
「そっかあ〜、そうだよね・・・」
お金をあげたかどうかの記憶はない。いや、お金なんて小学生が持ち歩く時代じゃなかったからあげていない。
決して見返りを期待するわけではない。困ってる人がいたら、なんでもいい。自分にできることをお互いが考えて生きることができたら、こんな不況でも、少しは暖かな気持ちになれる国になる。それがニッポン。悲劇を忘れず、胸に刻めば、みんなが互いに優しくなれる。(了)