2695 母親のロマンス
8/18-17
NHKBSでB29の逸話。
零戦等、軍需航空機を製作する中島飛行機製作所(武蔵野=現スバル自動車)のピンポイント攻撃に失敗云々。
その中島飛行機の御曹司・中島源太郎氏と私の母親のロマンスを書きます。
実は大映という映画会社の同僚。そこで知り合う。
母親は診療室の看護婦で、源太郎氏は映画プロヂューサー。さほどの接点はない。
ところが母親の2番目の弟・権士が同じ大映のシナリオ作家、源太郎氏と組んで、何本か映画を作成する飲み仲間でもあった。そのつてで、母親と源太郎氏は、何度か会う。
と言ってもいわゆるデートではない。
いつも権士や仲間を交えてのグループである。時代が時代だ。
やがて、母親の母親が長野から呼ばれる。
権士に連れられ、源太郎氏の新居に招待された。
はっきりとした理由はわからないが、わざわざ、そのために親を長野から呼ぶということは?
源太郎氏から母親に正式なプロポーズはなかったという。
ただし、冗談の中で、それらしいことはあったという。
ただし、交際していたという事実はない。
大映の社宅の部屋で母親と3人の弟が暮らしていたので、源太郎氏はそこに入り浸っていたという程度だ。
「僕は垂れ目だけど、(権士の)お姉さんはつり目だから、結婚したら、ちょうどいい子が生まれる」とは言われたというが、まあ、状況もわからんし、社交辞令の範疇だろう。
しかし、これは興味深い。
長野の母親の話。源太郎氏の家庭訪問から帰ってすぐのひとこと。
「あたしゃ、自分の娘の嫁ぎ先に行くのに、裏口からこっそり入るような、総檜の格式の高い家はごめんだからよしてください」と。母親は長野の母親にそう言われたと。
まあ、源太郎氏も長野の母親も権士も、当事者は皆故人で確かめようがない。
権士の結婚の仲人も、葬式の葬儀委員長も、源太郎氏が取り仕切ったというのは事実なので、親しさからいけば信憑性はある。
結局、源太郎氏は大映所属の女優さんと結婚し、のちに竹下政権下で文部大臣になる。
私と同じ昭和34年に次男が誕生するのだが、その中島洋次郎氏は衆議院議員だったが、政党助成金の不正授受で有罪判決を受け、それが元で自決した。500万円くらいのことだった。
慶応→オックスフォード→NHKという絵に描いたエリート。
学歴、名誉、地位、カネ、健康、全部あっても、人間は無いものがある。
それは何か?本人にしかわからない。
人間の運命、出逢いと別れ。
今現在の結果をベストの選択だった。
全てがついてる、ラッキーだと、口に出せる人が勝ちだと確信する。